しかし「20ミクロンという超微細な加工を施した金型は何に使用するのだろう」疑問に思い、尋ねたみたが、守秘義務があるため具体的な使用例は明かしてもらえなかった。ヒントとして教えてもらえたのが「金型はデザインだけではなく、製品の機能や性能をも変える」ということだ。
身近な事例だとトイレットペーパーやティッシュペーパーにも金型が使われている。一体どこに金型が使われているのか、ノーヒントで答えが出てくる人は少ないだろう。聞くところによると、日本のトイレットペーパーは、世界一の品質といわれているそうだ。薄くて丈夫で、吸水性は抜群。そして、柔らかくて肌触りがいい。実はこの柔らかさに金型が貢献している。
トイレットペーパーをしげしげと見れば、表面に細かなエンボス加工が施されていることが分かる。金型で紙の繊維を細かく断ち切っているから、トイレットペーパーは柔らかいのだ。「エンボス加工をしていなかったら、紙が固くてオシリがヒリヒリしちゃいますよ」と三木社長。
このように極薄い紙にエンボス加工を施すことで強度としなやかさが両立するように、フィルムも極微細なエンボス加工で新たな用途が生まれる可能性があるという。もちろん、精密微細金型によるイノベーションはフィルムだけに限らない。三木製作所がファイバーレーザー加工機を導入してさらなる微細加工を可能にしたことで、大手企業の研究開発部門からはより難しく、しかし新たなイノベーションにつながるような依頼もきているという。「誰もやっていないから、私たちが挑戦します!」と三木社長は笑顔を見せた。
雑誌の編集、印刷会社でDTP、プログラマーなどの職を経て、ライターに転身。三月兎のペンネームで、関西を中心にロボット関係の記事を執筆してきた。2013年より電子書籍出版に携わり、文章講座 を開催するなど活躍の場を広げている。運営サイト:マイメディア
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