もう、既に日本の金型は世界一ではない……。国内の顧客にばかり目を向けず、海外にも飛び出そうと取り組む日本金型工業会の取り組みとは。
金型は、金属部品のプレス成形、プラスチック部品の射出成形、またダイカスト成形など量産に必須とされる設備です。そのため、金型産業は一国の製造業の根幹として、世界各国で重要視されてきました。特に、日本の金型産業はリーマンショック前まで、
「他国がまねのできないような精度の金型を生み出すことができる技術」
「世界最大の生産・輸出規模」
を堅持し、「日本の金型は世界一」と国内外で声高に言いはやされるほどの威容を誇ってきました。しかし、そうした“古き良き時代”は終わりつつあります。以下の図1に示しているように、2011年、日本の金型産業の輸出金額は中国(含香港)に抜かれてしまいました。
また、貿易特化係数ではずっと韓国の後塵(こうじん)を拝し続けています。金銭的な観点からだけ見れば、日本の金型産業の国際競争力は量・質ともに既に世界一ではなくなっているのが実情なのです。
貿易特化係数=(金型の輸出額−輸入額)/(金型の輸出額+輸入額)
上述した国内金型産業の現況は、日本の製造業全体の縮図ともいえるでしょう。本連載は今回が最終回です。今回は、このような金型産業全体を覆う閉塞感を打破し、新たな活路を見いだそうとする経営者の“群像”と“今”をレポートしたいと思います。
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