大場社長や木田社長を中心として、2009年に日本金型工業会に所属する金型企業5社がユーロモールドに出展します。そこでの知見・成果を踏まえて、日本金型工業会は2010年から経済産業省の「JAPANブランド」スキームを活用することを決定しました。日本金型工業会として、「日本の金型づくり≒世界に誇るべきJAPANブランド」を掲げながら、世界に日本の金型を売り込まんとしていったのです。幸運なことに、筆者も2010年、2011年と専門家委員として、この活動にかかわらせて頂く栄誉に恵まれました。
MONOistの読者の方々はご存じかと思いますが、筆者はここ数年、日本だけでなく、シンガポールや韓国といったアジアのモノづくり中小企業の調査に携わってきました。そこで得た成果をダイレクトに産業界に伝えることができたのは、研究者冥利(みょうり)に尽きることでした。
なお、海外企業と継続的に取引しているモノづくり中小企業の特徴の1つとして、
「専門商社や営業代理店といった外部組織を積極的に活用している」
ということが挙げられます。
*この件は、記事末で紹介する筆者の著書でも詳しく説明しています。
先ほど示したように、経営資源上の制約から、営業に注力できる企業は多くありません。海外営業を誰の助けもなく十分に実践できる中小企業というと、その数は極めて限られてしまうでしょう。そのため、中小企業は得てして専門商社や営業代理店を活用することで、自社の営業能力を補完するのです。
日本金型工業会のJAPANブランド戦略で、その役割を担ったのが事業革新パートナーズ(東京都中央区)という企業です。現社長の茄子川仁氏は大手商社、外資系コンサルタント会社を経て、数年前に同社を創業しています。その際、自社の成長の方向性を模索しながら、
「日本経済にとって最も重要なのはモノづくり産業なのにもかかわらず、既存のコンサルティング会社はあまり目を向けていない」
「わが社はモノづくり、その中でも金型産業に目を向けていこう」
という結論に達します。こうした思いを有する同社が、日本金型工業会の若手の経営者の方々と出会うのに時間はかかりませんでした。
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