同プロジェクトは、機械加工をNCプログラムで指令する方式から、加工中に工具位置や工具姿勢を計算して逐次指令する方式に転換して革新的な工作機械知能化技術を実現することを目指すもの。実現できれば、機械加工を工作機械に指令するのではなく、工作機械に任せることが可能となる。NCプログラムの作成に要する多大な労力が不要となり、製造リードタイムの削減に貢献する。
実現を目指すのは、素材と製品の3次元CADモデルを入力するだけで機械加工を実現できるようにすることだ。同時に切削力の適応制御を実現する他、機上計測による修正加工なども行う。
具体的には被削材のボクセルモデルを用いた工具モーション制御、切削力シミュレーションの研究、切削力シミュレーションに基づく適応制御の研究、仮想倣い加工システムと工程設計システムの統合などに取り組む。既に中間製作物としてNCプログラムを作成することなく、素材と製品の3次元CADモデルから機械加工が可能な工作機械の試作に成功し、イタリアで開催される工作機械や自動化装置の国際見本市「EMO Milano 2015」(2015年10月5〜10日)で展示予定だという。
同プロジェクトは、切削困難な金属の微細加工などを高効率で行えるという強みを持つ電解加工機の精度を高め、従来の技術レベルをしのぐ電解加工機の開発を目指すというもの。最終的に高効率で高精度な電解加工システムを実現するのが目的となる。加工速度を従来比40%以上、加工精度を同40%以上、面粗さRa30nmを実現することを目指す。
具体的には、透明帯電極を用いた加工間隙の直接観察により、電解加工現象を解明し、試行錯誤が不要な柔軟で高精度な電解加工シミュレーションツールを開発する他、難加工材や非導電性材料の電解加工技術、複雑形状加工、曲がり穴加工、微細電解加工の要素技術を開発していく。シミュレーションツールや加工データベース、高性能パルス電源、環境対応型電解液処理装置を備えた5軸の電解加工機の開発に取り組む。
同プロジェクトは、誰もが簡単に複合加工機が利用できるようになり加工技術の底上げを実現することを目指すもの。多軸工作機械をより簡単に扱えるようにする。そのためには自動での干渉・衝突回避昨日や、センサーレスでの知能化、最適化技術が必要となる。
自動干渉衝突回避システムの実現に向けては、切削工具や工作物の測定カメラの開発や測定データを基にしたCADデータ構築技術の開発などを行う。また加工の特徴に基づく工程設計技術の開発などにも取り組む。その他、センサーレス切削抵抗推定技術や加工力情報に基づくプロセス同定技術などの開発に取り組む。
本稿では24の研究テーマの内、「超上流デライト設計・生産研究クラスタ」「最適化設計・生産研究クラスタ」「加工技術の複合化・知能化研究クラスタ」の取り組みを紹介した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.