武藤工業は、生産効率化や設備保全などの展示会「生産と設備TOKYO」に出展し、2015年7月22日に販売を開始した「アーク溶接金属3Dプリンタ」を紹介した。既に製造現場で使用する部材向けなどで引き合いがあるという。
MUTOHホールディングス傘下の武藤工業は2015年7月22〜24日の3日間、東京ビッグサイトで開催されている生産効率化や設備保全などの展示会「生産と設備TOKYO」に出展し、2015年7月22日に販売を開始した「アーク溶接金属3Dプリンタ」を紹介した。
新たに武藤工業が販売したアーク溶接金属3Dプリンタ「ValueArc MA5000-S1」は、アーク溶接で大まかな形状の積層造形するという“発想の転換”を生かした金属3Dプリンタだ(図1)。
金属3Dプリンタは金属粉末を吹き付けてレーザー光などで溶かして積層させる方式や、金属粉末を敷き詰め熱によって選択して溶融結合させる方式などが採用されていたが、最終的に利用可能な製作物とするには、切削など金属加工を行う必要があった※)。
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武藤工業のValueArc MA5000-S1は「どうせ最終的に切削するのであれば、積層造形は大体の形があれば問題ない」という発想のもと生み出された製品だ。積層の精度を割り切り、汎用技術であるアーク溶接を積層造形技術に採用したことで、従来の造形方式に比べて、本体および材料の低価格化や、造形の高速化を実現したことが特徴となる。
造形速度は通常時が100〜200cc/hで、条件によっては500cc/h以上も可能。例えば、高さが10cm程度のアルミニウムの造形物であれば、15分程度で造形することなども可能だ(図2)。
造形材料は汎用品である溶接ワイヤが使用できるため、数百〜数千円程度で安価で手に入りやすいものが選べる。豊富な物性データがあり、軟鋼、ステンレス、金型材、インコネル、チタン、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル合金などさまざまな素材を利用できることも特徴だ。造形サイズは500×500×500mmで、造形物表面の粗さは約±500μmだという。
ValueArc MA5000-S1は試作機を2015年1月の3Dプリンティング技術の展示会「3D Printing 2015 Additive Manufacturing Technology Exhibition」にも出展※)しており、市場性などを探っていたが、既に引き合いも多く来ているという。
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「製造ラインでライン変更などをした際に必要になる部材や調整が必要な金属部材などの製作、金型製造の補助部材などで引き合いがある。主に工場用途が多い」と需要についてブース担当員は説明している。
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