最後に、安全性、互換性などを担保した普通充電器の普及を目指して活動している電動車両用電力供給システム協議会(EVPOSSA)から、事務局長の石本隆昭氏、同普及促進部会 部会長の西村忠士氏に、現在の活動内容や今後の展開を聞いた。
和田氏 まずはEVPOSSAの役割について教えてほしい。
石本氏 EVPOSSAは、電動車両向けの普通充電器について、安全性や互換性が第三者認証などによって担保された製品の普及促進と、業界横断的に幅広い議論・検討を行う団体として2012年4月に設立した。会員数は30社である(2015年3月末時点)。
2012年から、普通充電器の第三者認証を行うための体制整備や、安全性/互換性が担保された製品の普及促進を進めてきた。2014年度補正予算で決まった「次世代自動車充電インフラ整備促進事業費」の補助事業では、普通充電器における補助対象の要件として第三者認証取得が加わった。設置者から見れば、第三者認証を取得した普通充電器で補助金を活用することができ、また一般ユーザーから見れば安全性/互換性の担保された普通充電器が供給されるというメリットがある。また、普通充電器に加え、給電装置や課金装置も補助金の対象になった。
和田氏 2015年度の活動内容はどのようなものか。
西村氏 主に3つに分けられる。1つ目は、先述した第三者認証の支援である。2つ目は、2014年に作成した「EVPOSSAビジョン」における、移動したくなる社会づくりや人にやさしい充電インフラの提供など利便性を追求しながら、ビジネスモデルとしても成立するように活動を行うという目標に向けた活動の推進である。3つ目は、技術課題部会、普及促進部会の活動展開だ。例えば、通信規格の統一、トラブル情報や充電器位置情報の収集/共有/発信などに取り組んでいきたい。
和田氏 複数の海外自動車メーカーが、電動車両を日本に市場投入している。普通充電器の互換性はどうなのか。
西村氏 2013年に、国内自動車メーカー(4社)と普通充電器メーカー(15社)が参加して互換性確認会を実施した。現在、複数の海外自動車メーカーの電動車両が国内で利用されるようになっているが、各社が普通充電器メーカーに設置場所を確かめて、普通充電器への接続確認を個別に行っていると聞いている。今後、国内外の自動車メーカーを含めて、再度、電動車両と普通充電器の互換性確認を検討する必要があると考えている。
和田氏 ワイヤレス給電(出力3kWレベル)も、EVPOSSAの対象になるのか。
石本氏 確かにワイヤレス給電もEVPOSSAが扱うはんちゅうとなる。しかしまだ体制が整っておらず、今後の課題と認識している。
和田氏 急速充電器を扱うチャデモ協議会と、普通充電器を扱うEVPOSSAは、役割が近いように思える。将来的に互いの役割分担がどのようになると考えているか。
石本氏 ご指摘の通りであり、2015年度からチャデモ協議会と会合を持ち、相互の役割分担について、外から見ても分かりやすくなるように検討していく予定である。
和田氏 最後に、現在の普通充電器の設置数を教えてほしい。
石本氏 EVPOSSAが会員企業を対象として行っている普通充電装置の出荷自主統計(2015年3月末現在)では、充電ケーブル搭載タイプの普通充電器で約1万2800台、コンセントタイプは約43万4000台が出荷されている。これらには個別の家庭に設置されている、充電ケーブル搭載タイプおよびコンセントタイプの普通充電器も含まれている。
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