村田氏は、3つの目的を達成できていない最大理由として、オープンイノベーションの促進で取り上げた、「Linuxベースの車載情報機器プラットフォームを開発する組織の断片化が最も大きい」と指摘する。
2012年9月にAGLが発足した当初、「Code First(コードファースト)」アプローチを取るため、既に車載情報機器向けのLinuxプラットフォームをある程度構築していたTizen IVIを参照することを決めていた。一方、2009年3月に結成されたGENIVIアライアンスも、Tizen IVIを基にミドルウェアなどの開発を進める方針になっていた。このため、AGL、Tizen IVI、GENIVIという3つの組織は、互いに協力してLinuxベースの車載情報機器プラットフォームを開発することになったのだ。
⇒AGL、Tizen IVI、GENIVIが協力関係を結ぶ経緯を解説した記事
だがこの体制は、各組織で進める開発プロジェクトや要件のすり合わせが困難であり、知見も分散してしまうという課題を抱えていた。
この課題を解決するために村田氏が提唱するのが開発体制の一本化である。具体的には、これまでの参照プラットフォームだった「Tizen IVI 3.0」に替えて、AGLが主導する「AGLディストリビューション」を基準プラットフォームに据える。AGLディストリビューションを策定する際には、Tizen IVI 3.0で培ったさまざまな知見が移植される。そして、このAGLディストリビューションのもとで、他分野のコードのポーティングや、エコシステムの構築を進めていきたい考えだ、
この開発体制でカギになるのはGENIVIの動向だろう。村田氏は、「AGLからGENIVIに対して、この開発体制に参加してほしいというオファーを出している」と述べる。まだ、GENIVIの参加が決定したわけではないが、AGLで当初から活動を続けてきたJaguar Land RoverのMatt Jones氏がGENIVIのプレジデントに就任したこともあり、「ポジティブな結論が出ると期待している」(村田氏)という。
⇒「Automotive Linux Summit Spring 2013」におけるJaguar Land RoverのMatt Jones氏による講演リポート
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