組込みシステム技術協会(JASA)はロボットおよび組み込みシステム向けのハードウェア抽象化レイヤー「OpneEL」の現状について報告した。最新版「2.0」の公開が近づいている他、国際標準化も進んでいる。
組込みシステム技術協会(JASA)は2015年5月20日、同日に開催した「JASA技術本部成果発表会」にて、ロボットなど組み込みハードウェアを抽象化するライブラリ「OpenEL」の進捗を報告した。
OpenEL(Open Embedded Library)はロボットや制御システムなどのソフトウェア実装仕様を標準化する組み込みシステム向けプラットフォーム。センサー入力やモーター出力など機器制御のAPIを抽象化しミドルウェアより低いレイヤーして配置することで、デバイスドライバなどソフトウェアの移植性や再利用性などを高めることが狙いだ。
アーキテクチャとしては、デバイス制御のためのAPI群で構成される「Surface layer」とデバイス単位の制御モジュールライブラリで構成される「Device layer」の2層からなり、APIでデバイスを指定すると、そのデバイスモジュールに接続され、定義した動作を行う。モーターを例にすれば「指定した角度までの回転」「速度制御」などの定義がなされており、OpenELを利用すればモーターのメーカーや型番を意識することなく、プログラムを開発することが可能となる。
仕様書は「OpenEL 1.0」として2013年5月に公開されており、現在は仕様のバージョンアップ(OpenEL 2.0)策定と国際規格化の提案が行われている。OpenEL 2.0の公開は2015年夏が見込まれており、国際標準化についてもソフトウェア関連の標準化団体であるObject Management Group(OMG)にて、「Hardware Abstraction Layer for Robotic Technology(HAL4RT)」の標準化が進められており、最終的にはHAL4RTをベースとしたISO国際標準化までも視野に入れている。
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