中国市場で苦戦する日本の自動車メーカーに対して、大きな成功を収めているのがフォルクスワーゲングループだ。2015年4月開催の「上海モーターショー(オート上海)2015」では、国際格のモーターショーの前夜に開催される「フォルクスワーゲングループナイト」を開催し、同グループの中国市場に対する意気込みを示した。
中国市場で苦戦している日本の自動車メーカーに対して、ドイツの自動車メーカーは同市場でのプレゼンスとシェアを伸ばしている。なかでも、Volkswagen(フォルクスワーゲン)グループは、地場メーカーである上海汽車(SAIC)と第一汽車(FAW)との合弁を通して、今年(2015年)稼働するウルムチの工場を加えると、国内に8カ所の組み立て工場があり、2018年までに中国国内で年間400万台を生産することを宣言している。
この発表を聞いた当時は荒唐無稽な計画に思えたが、2014年の中国での実績が前年比12.5%増の368万台と二桁成長を果たしたところを見ると、あながち届かない目標でもなさそうだ。General Motors(GM)と中国市場におけるトップシェア争いを繰り広げている。
中国で最大規模のモーターショーである「上海モーターショー(オート上海)」にも力が注がれている。2015年4月開催の今回は、ジュネーブ、フランクフルト、パリといった国際格のモーターショーの前夜に開催される「フォルクスワーゲングループナイト」を開催し、フォルクスワーゲンの中国市場に対する意気込みを示した。
オート上海前夜。開催場所は外資系企業が立ち並ぶ東浦地区で、上海万博の会場になったエリアの一角だ。ジャーナリストや関係者が詰めかける会場では、広報部門を率いるシュテファン・グルーゼン氏が登壇し、VIP席に座るフォルクスワーゲン関係者を紹介するのが通例だ。
しかしながら今回は少々様子が異なった。フォルクスワーゲングループを現在の規模に押し上げた立役者であり、現在は監査役会長を務めるフェルディナント・ピエヒ氏を紹介するのが常だったが、VIP席に向けたカメラにはPorsshe(ポルシェ)創業一家のウォルフガング・ポルシェ氏のみが映しだされた。また、グループナイトの最後はグループCEOのマルティン・ヴィンターコルン氏が長めのあいさつで締めていたが、今回はフォルクスワーゲンブランドの技術担当役員であるハインツ・ヤコブ・ノイサー氏とともに英国の自動車雑誌「オートカー」による「カー・オブ・ザ・イヤー」に「パサート」が選ばれたことを報告するだけに留めた。
オート上海の会期中に恒例となっている、上海市の副市長との会談は行っていたので、健康面の心配ではなさそうだ。詳細は別の機会に譲るが、フォルクスワーゲングループではそろそろ大型の人事が行われるとのうわさがあるだけに、トップの動向には引き続き注目していきたい注)。
注)オート上海の一般公開日初日である2015年4月25日、フォルクスワーゲンはピエヒ氏の監査役会長の辞任を発表している。
スピーチで印象的だったのは、中国市場を統括する役員のヨッヘン・ハイツマン氏が「2015年、中国市場では、グループ全体で60を超える新型車を投入する」というものだった。フォルクスワーゲンブランドだけに着目しても、市街地を走り回るタクシーの「サンタナ」に加えて、中国専用セダンの「ラヴィーダ」、「パサート」や「ジェッタ」などのグローバルセダン、「ティグアン」などのSUVが人気で、実際に街中でもよく見掛けた。
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