インダストリー4.0が目指す「マスカスタマイゼーション」を象徴する生産ラインとして出展が目立ったのが、BTO(Build to Order)に自動対応可能な完全自動化ラインだ。
ドイツのシーメンスは、同社の広大なブースの中でさまざまな生産モデルを出展。その中でも注目を集めたのが、注文に合わせて最適な香水を生産するシステムのデモだ。同生産システムでは、タブレットで香水を注文すると、その注文が生産システムにリアルタイムに反映され、その注文通りの香水を瓶に入れて提供するというものだ。
これらの自動化を実現するためには、製造装置や製造装置の制御システムおよびMES(製造実行システム)、さらにその上位となるSCM(サプライチェーン管理)やCRM(顧客管理)システムなどとの連携が実現できていなければならない。製造装置やそれの動作に関連するシステム、情報系のシステム、その上位で経営情報を管理するシステムなどが個別で存在している状況であれば、これらのシステム間の情報の受け渡しや判断などで人間の手を介することになり、そこがリードタイムを伸ばすことにつながっていた。これらの情報やシステムが一元的に連携して動くことで、従来以上の自動化が実現できることを証明したといえる。
同様にBTOの完全自動化生産を模擬的に出展したのが安川電機だ。同社が披露したのは、タブレットで「YASUKAWA」などの文字を「注文」すると、2台のコンパクトロボットが、すぐにそれを反映して生産するというラインだ。BTO製品の生産をイメージしており、顧客の注文が即座に生産ラインに反映され、人の手を介さなくても完全自動で製品が出来上がる姿を実現した。
ドイツのハーティングもインダストリー4.0において最大のクラスタである「It's OWL」に参加している実績を生かした先進的自社実践ライン「HAII4YOU Factory」を出展。同生産ラインは、購入情報をSAPの基幹システムが受け取り、それをMESを通じて生産設備にダイレクトに反映させることを実現したもので、カスタマイズコネクタを注文に応じて自動的に生産ラインに反映させることが特徴だ。注文は1個から対応可能としている。
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