2014年度の予防安全性能アセスメントの評価点を見ると、軽自動車を中心に急激に採用が拡大したレーザーレーダーを使う運転支援システムの搭載車両は、自動ブレーキの評価は10点以下になっている。例えば、ダイハツ工業の「スマートアシスト」や、スズキの「レーダーブレーキサポート」、ホンダの「シティブレーキアクティブシステム」などだ。一方、ステレオカメラやミリ波レーダー、それらの組み合わせを使う運転支援システムの搭載車両は、自動ブレーキの評価点だけで12点以上になっている。
評価点が大きく分かれる理由は、自動ブレーキの動作速度範囲だ。レーザーレーダーを使う運転支援システムの場合、自動ブレーキの動作速度範囲はおおむね時速10〜30kmだ。この時速10〜30kmの範囲で、模擬車両が止まった状態の評価点が満点だったとしても10点しか得られない。さらに、時速20kmで走行している模擬車両への衝突試験は、開始車速が時速35kmからとなっているため、自動ブレーキの動作範囲が時速30kmの運転支援システムでは行えず0点になってしまう。
一方、ステレオカメラやミリ波レーダーを使う運転支援システムの自動ブレーキは、時速60km以上でも動作するため、模擬車両が止まった状態、時速20kmで走行している状態、両方の試験が行える。また、模擬車両が止まった状態の試験では、走行速度が時速35km以上の評価点が高く割り振られていることも、大きな差がつく要因になっている。
自動ブレーキの32点に対して、レーンキープの配点は8点にすぎない。しかしレーンキープは、車線をカメラで認識する必要があるため、レーザーレーダーやミリ波レーダーだけの運転支援システムでは評価点を得られない。そういう意味では、ステレオカメラだけを使うEyeSightや、単眼カメラだけを使う日産自動車の「エマージェンシーブレーキ」(「ノート」「エクストレイル」の運転支援システムの場合。スカイラインはミリ波レーダーと単眼カメラの組み合わせになっている)は、予防安全性能アセスメントで高い評価点を得るという観点では極めて効率の良いシステムといえるだろう。
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