「悪いバグ」のケーススタディ(バグの少数例)山浦恒央の“くみこみ”な話(72)(2/3 ページ)

» 2015年04月02日 11時00分 公開

4. 操作系

 操作系は「操作に関する不具合」「入力したコマンドが暴発する」などの操作に関係した不具合です。これらの不具合はゲーム進行に大きな影響を与えます。例えば、Aボタンや方向キーを押しても反応しない場合、ある種のフリーズと同様の現象になるためです。以下に、「操作系」をさらに2つに分類します。

  • 4.1 操作に関する不具合

 操作に関するものにはさまざまな不具合があります。例えば、「ボタンを連打するとフリーズする」「ボタンを押してからゲームに反映されるまでのタイミングが遅い」「意図しない操作になる」などです。

 不具合に限らず「ボタンを押したけれども、反応が遅い」と感じた人も多いでしょう。筆者は、動作に問題ないけれど反応が遅いと思った経験が多々あります。ある種、人間の官能的部分が求められるため、反応速度のチューニングは難しいかもしれません。

 

  • 4.2 入力したコマンドが暴発する
photo

 この不具合は、微妙で早い操作が必要になる格闘ゲームで頻繁に報告されています。格闘ゲームでは数多くのコマンドが用意されており、それらを駆使して対戦します。上級者は、技の速度や、技の連続性を考慮して戦いを有利に進めます。ある種、チェスや詰め将棋のような理詰めの部分が求められます。

 暴発とは、例えば、ある技を使用する際、プレーヤーの意図しない別の技が発生してしまうことを言います。筆者も経験があり、他のプレーヤーとプレイ中に技が暴発し「なんでこちらの技が出るんだ……」と言いようのいない悔しさを感じました。暴発の不具合もプレーヤーの入力タイミングなどに関係します。人によって気になる人とそうでない人がいます。

 格闘ゲームでは、1人のキャラクターにつき数十種類以上のコマンドが用意されています。これらの技の組み合わせを全て網羅し、テストすることは容易ではありません。

5. 音楽系

 音楽系とは、「ゲーム内のBGM」「効果音」「音声」の不具合のことです。音楽は、ゲームに臨場感を持たせる上で、重要な要素です。例えば、インベーダーゲームで音がない場合を考えると、単にエイリアンが迫ってくるだけですので、緊張感が全く伝わりません。

 音楽系不良で多いのは、「BGMや効果音が出ない」「音声がズレている」でした。この不具合によって、ゲームプレイに支障は出ませんが、他の不具合と比べてユーザーが気付きやすく、「目立つバグ」といえます(それ故、指摘件数も多い)。

6. AI系

 AI系は、主に敵やNPC(NonPlayer Character)に関連する不具合のことです。

 例えば、アクションゲームで味方NPCと一緒に行動するステージがあったとします。通常、NPCはプレーヤーを先導したり、助けたりする優秀な存在です(時々、何も役に立たず突っ立ているだけの場合もありますが……)。そのNPCが「障害物を超えられない」「動かない」「攻撃を行わない」などの挙動を見せることがあります。これではNPCの存在意義が全くありませんし、逆に邪魔なだけです。

 ゲームプレーヤーの視点から見ると、NPCが(さほど)役に立たないことは初めから分かっていますので、この不具合が発見されても、プレーヤーはほとんど気にしない可能性が大です。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.