ウェアラブル製品に対する規制・評価規格の例を以下に示す。
ULは、ウェアラブル製品向け環境関連規格として上記UL 2887(Sustainability Outline for Wearable Electronics Products)の評価アウトラインを2014年10月に発行した(*注2)。これにより、スマートウオッチ、スマートグラスなどのウェアラブル製品に対するサステイナビリティ(持続可能性)を認証する。
注2:評価アウトラインとは、UL規格が発行されるまでの評価・認証に使用される要求事項で、サブジェクトとも称される。規格策定パネル(STP)における検討・投票が行われた後、正式なUL規格として発行される。
ウェアラブル製品に対する規制は、先進国を中心にその適用が始まったばかりであり、上述したリスクや評価試験が十分に実施されている訳ではない。国および地域毎に規制の適用やその厳しさの度合いも異なることから、製品設計・開発に際しては入念な準備と検討が必要である。
製品安全、EMC/無線に関しては、世界的に見ても類似性の高い評価試験が要求されているが、例えば、EUでは電気製品に含有される化学物質に対して厳しい規制を課し、環境影響評価に重きを置いている。
近年、医療現場では、ワイヤレス環境でバイタルデータをやりとりする機器が増えてきている。ウェアラブルな医療機器の例としては、脈拍や血圧などのバイタルデータをワイヤレス環境で取り扱い、医療用途として利用される装着型機器などが挙げられる。
米国連邦政府は、この領域における取組指針を示すガイドライン策定の必要性を強く認識し、FDA Safety and Innovation Actに基づき、FDASIA WG(ONC, FCC, FDAなどからなるワーキンググループ)によってAAMI/UL 2800(Medical Device Interoperability)などの規格を策定中である。
これまでウェアラブル製品に潜在するリスクとそれらに関連する規制、および評価試験を説明し、製造者および流通事業者が留意すべき点を中心に紹介した。
ウェアラブル製品に対する規制が十分に確立されていない状況であることから、製造者および流通事業者は、
上記の点に留意する必要があるといえる。
コンシューマーテクノロジー事業部およびライフアンドヘルス事業部にて、ウェアラブル製品の製品安全、EMC・無線、環境・化学分析、医療用途での評価試験・認証業務などに従事。各国・地域への規制対応等のグローバル出荷の支援も行っている。
ULは、長年の経験と知識を基に、こうした潜在的リスクに対する様々な試験・認証・認可取得サービスを提供し、製造者および流通事業者のタイムリーな海外進出をサポートしている。
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