ダイセルは、米国アリゾナ州メサに自動車のエアバッグ用インフレータの新工場を建設し、2016年3月(2015年度)末に生産を開始する。タカタ製エアバッグ問題でインフレータが不足する中、タカタの競合企業がインフレータの増産を表明している。ダイセルの新工場建設もこの流れに沿ったものだ。
ダイセルは2015年2月20日、米国アリゾナ州メサに自動車のエアバッグ用インフレータの新工場を建設すると発表した。2016年3月(2015年度)末に生産を開始する。タカタ製エアバッグ問題では、多くの自動車メーカーがインフレータを交換するためのリコールを発表しているが、交換用インフレータそのものが不足している。このため、タカタの競合企業であるAutoliv(オートリブ)がインフレータの増産を表明していた(関連記事:タカタ製エアバッグ問題でインフレータが不足、競合のオートリブがホンダに供給)。ダイセルの新工場建設もこの流れに沿ったものだ。
同社は自動車エアバッグ用インフレータを日本、米国、タイ、ポーランド、中国、韓国の国内外6拠点で生産している。今回発表した新工場は、2000年12月に開設したダイセル・セイフティ・システムズ・アメリカ(DSSA、ケンタッキー州)に次いで米国2カ所目の工場となる。新工場は、2012年に買収した、インフレータの構成部品である着火装置などを手掛けるSpecial Devices(SDI)に隣接する土地に設置する。投資額は非公開。
またミシガン州デトロイトの営業拠点を拡充して、米国における顧客の要望に迅速に対応できる体制を構築するとしている。
同社の2014〜2016年の中期経営計画「3D-II」では、自動車エアバッグ用インフレータの年間生産量を2013年度末の約6000万個から2016年度末に約7800万個に増やす方針だった。この計画で予定されていた米国新工場の立ち上げを前倒すことで、タカタ製エアバッグ問題で不足しているインフレータ需要の急拡大に対応する。また長期的には、世界最大規模の北米市場と成長著しい中南米市場での採用拡大を目指す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.