「オートモーティブワールド2015」の基調講演にFord Motor Technical & Business Strategy Office/Research & Advanced EngineeringのJohn Sakioka氏が登壇。同氏は、将来的なスマートモビリティ社会の実現に向けた取り組みについて語った。
2015年1月14〜16日に東京ビッグサイトで自動車技術の展示会「オートモーティブワールド2015」が開催された。同年1月14日の基調講演で、Ford Motor Technical & Business Strategy Office/Research & Advanced EngineeringのJohn Sakioka氏が「モビリティの未来」をテーマに講演を行った。Sakioka氏は、将来的なスマートモビリティ社会の実現に向けたフォードの取り組みについて語った。
Sakioka氏は未来の自動車産業と関係する社会問題について言及した。現在、全世界の人口は約70億人以上といわれているが、2050年には90億人にまで拡大すると予測されている。こうした人口の増加に伴い、2050年に全世界で走行している自動車の台数は、現在の10億台から40億台に達すると見られているという。
Sakioka氏は「こうした人口の増加によって“メガシティ”と呼ばれる大規模都市が生まれた際、そこで利用される自動車などによって、大気汚染や交通渋滞に関するさまざまな課題が顕在化する可能性がある。さらにこうした課題に加えて、高齢化や民族の多様性の進行、女性の地位向上や人々のライフスタイルなど、あらゆるものが現在とはことなる形に変化する」と述べた。
Sakioka氏は、自動車メーカーという立場にあるフォードのこうした将来的な課題の解決に向けた取り組みとして、「2015 International CES」(2015年1月6〜9日、米国ネバダ州ラスベガス)で発表したプロジェクト「Ford Smart Mobility」を紹介した。これはスマートモビリティ社会の実現に向けて、世界各国でさまざまな実証実験を推進するというもの。フォードは同プロジェクトの第1段階として25項目の実証実験の概要を公開している。
Sakioka氏は25項目の実証実験の一部を紹介した。ロンドンでは渋滞の解消やCO2削減を目的に、現地のホテルなどの商業施設と協力してスマートフォンのアプリケーションを利用したカーシェアリングの実証実験が行われているという。「既に駐車、カーシェアについては実車を使った実証実験がスタートしている。さらに、世界各国でオープンイノベーションを取り入れたモビリティ開発も進めている」(Sakioka氏)。
Sakioka氏はこうしたモビリティ社会の実現に向けた取り組みと併せて、半自動運転や自動運転システムの開発にも注力している点をアピールした。「フォードはミリ波レーダーと車載カメラをベースとした半自動運転システムの開発を進めてきた。歩行者の検出による衝突回避や、駐車や交通渋滞時の支援といったシステムは、自動運転を実現する上で重要な技術になると考えている。自動運転についてはハイブリッド車『Fusion Hybrid』を利用した実証実験も進めている」(Sakioka氏)。
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