車載ソフトウェア関連事業を手掛けるイーソル、SCSK、豆蔵、ビジネスキューブ・アンド・パートナーズ、キャッツ、未来技術研究所の6社が、AUTOSAR関連事業を共同で推進することを目的にした戦略的業務提携で合意。「日本の自動車メーカーおよびサプライヤのECUソフトウェア開発を支援し、日本の自動車産業の発展に寄与していく」という。
車載ソフトウェア関連事業を手掛けるイーソル、SCSK、豆蔵、ビジネスキューブ・アンド・パートナーズ、キャッツ、未来技術研究所の6社は2014年11月28日、AUTOSAR関連事業を共同で推進することを目的にした戦略的業務提携で合意したと発表した。
AUTOSARとは、欧州の自動車メーカーが中心になって策定した、自動車の走る/止まる/曲がるに関わる制御系システムを統御するソフトウェアの標準規格である。自動車の電子化が進展するとともに、ハイブリッドシステムや自動ブレーキなど複数の制御系システムを連動させる必要がある機能の搭載が広がるにつれて、標準化によって制御系システムのソフトウェアの再利用を促進したいという思惑から策定されたものだ。
欧州で策定されたこともあり、欧州の自動車メーカーやティア1サプライヤが先行して導入している。国内でも、欧州の自動車メーカーと取引のあるティア1サプライヤ以外にも、トヨタ自動車や日産自動車、ホンダといった大手自動車メーカーが採用を拡大しつつある。
ただし、AUTOSAR関連の開発ツールや、OS/ドライバなどの基盤ソフトウェア(BSW)は、欧州の車載ソフト企業のものがほとんど。制御系システムのコンピュータであるECU(電子制御ユニット)を構成するマイコンや電子部品は日本製が多く使われているが、ECUを実際に動かすソフトウェアは海外製になりつつあるというのが現状だった。
今回6社が発表した戦略的業務提携は、AUTOSAR関連の開発ツールやBSWのほとんどが海外製という状況にくさびを打ち込むためのものだ。6社がそれぞれ有している車載ソフトウェア関連の製品やノウハウを持ち寄ることで、コンサルティングを含めたAUTOSARに関するワンストップサービスを提供する。また日本に本拠を置く車載ソフトウェア関連企業であることを生かし、国内の自動車メーカーやティア1サプライヤが求める、素早い開発対応や柔軟なサポートを行う。
この他、人材交流や共同研究開発プロジェクトなどを通じて最先端の技術開発へ継続的に取り組む。そして、「日本の自動車メーカーおよびサプライヤのECUソフトウェア開発を支援し、日本の自動車産業の発展に寄与していく」(発表文より)としている。
6社の役割は以下の通り。イーソルはBSW開発、開発支援ツール、機能安全対応、SCSKはBSW開発、開発支援ツール、豆蔵はBSWおよび開発支援ツールのアーキテクチャ設計、ビジネスキューブは開発プロセス、機能安全コンサルティング、キャッツは開発支援ツール、未来技術研究所はBSW開発となっている。
イーソルは2014年11月19日、TOPPERSプロジェクトが開発したオープンソースのAUTOSAR仕様OS「TOPPERS/ATK2」を対象にしたプロフェッショナルサービスを行うと発表している。同社は、国内の車載ソフトウェア標準化団体であるJasParの開発成果を用いたAUTOSAR対応の開発支援ツール「eSOL ECUSAR」を展開しており、TOPPERS/ATK2を今後対応させる方針も示している。
イーソルの常務取締役を務める上山伸幸氏は、TOPPERSプロジェクトが「Embedded Technology 2014/組込み総合技術展(ET2014)」会場で開いた会見で、「AUTOSAR関連のBSWや開発支援ツールの開発工数が莫大な一方で、AUTOSAR関連ビジネスの内訳はライセンスが30%、サービスが70%になっている。あまり規模が大きいとは言えない日本の車載ソフトウェア関連企業が、製品開発もサービスも同時にやる形で、単独でAUTOSARビジネスを展開するのは厳しい。今回のように、既にオープンに配布されているTOPPERS/ATK2をAUTOSAR仕様OSの主軸に据えるなど、協業を進めていきたい」と話していた。
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