経済産業省が2014年9月24日に、日本におけるベンチャー企業創出の推進を目的に「ベンチャー創造協議会」を設立。それに併せて開催されたカンファレンス内で、ベンチャー企業を取り巻く環境をテーマに有識者によるパネルディスカッションが行われた。
経済産業省は2014年9月24日、既存企業とベンチャー企業の連携を推進し、日本経済全体におけるベンチャー企業の創造を推進する「ベンチャー創造協議会」を設立した。それに併せて、同日に東京都内で開催された「ベンチャー創造協議会設立カンファレンス」の中で、「日本経済全体でのベンチャー創造のために」というテーマで、日本のベンチャー企業を取り巻く環境についてのパネルディスカッションが行われた。
ベンチャー創造協議会は、ベンチャー企業の創造という目的に賛同する企業・個人・団体から構成される組織。ベンチャー企業と既存企業の連携推進や、大企業が自社の事業シーズの一部を切り出してベンチャー企業として独り立ちさせるカーブアウトのサポート、米国のシリコンバレーに日本企業の人材を派遣するといった取り組みを進めていく。同協議会の事務局は経済産業省が務め、会費などは設けないとしている。
カンファレンス内で開催されたパネルディスカッションには、ベンチャーキャピタルWiLの共同創業者兼CEOを務める伊佐山元氏、KDDI 代表取締役執行役員専務の高橋誠氏、経済産業省 経済産業政策局長の菅原郁郎氏などが登壇した。
米国の経済誌「Forbes」が発表した調査結果によると、2013年度におけるベンチャー企業の時価総額は、米国が約3.8兆米ドルだったのに対し、日本はその10分の1だったという。また、日本はITサービスを手掛けるベンチャー企業が増加傾向にあるが、技術開発に関連する企業の創出については低迷しているといった現状が説明された。
こうした現状について、伊佐山氏は「日本では技術分野に投資するベンチャーキャピタルが少ない。『日本の強みは技術力』といわれているが、リスクを取って投資する人がいない。米国ではベンチャー企業に日本の約57倍もの金額が投資されており、宇宙、飛行機、バイオ、メカトロニクスなどさまざま分野で新しい企業が登場している。日本と海外では、ベンチャー企業に対する投資環境で想像以上に差がついてしまっている」と語った。
また、経済産業省の菅原氏は「ベンチャー企業が単体で画期的な技術を生み出すのは難しい場合もある。そこは、国としてバックアップしていく必要があると思っている。日本は、製造業を中心に多くの企業が壁にぶつかってしまっている状況。そういった企業がIT系のベンチャーなどと連携して、何ができるかを考えていく必要があると思う」とコメントした。
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