パイオニアVCはビジュアルコラボレーションサービス群として新ブランド「xSync(バイシンク)」を立ち上げ、製造業の設計・製造レビューなどにおけるコラボレーション基盤として提案を強化する。
パイオニアVCは2014年9月9日、従来提供してきたビジュアルコラボレーションサービス群を新たに「xSync(バイシンク)」ブランドに統一し製品群を展開していくことを発表した。
パイオニアVCは、もともとパイオニアの子会社であるパイオニアソリューションズで、2008年からビジュアルコラボレーションサービスの展開を開始し、3次元CADデータのレビューなど設計・製造業を中心とした多くの顧客を獲得してきた。特にオンプレミス型のサービスで強みを持つのが特徴だ。
このパイオニアソリューションズを2014年3月にブイキューブが子会社化。ブイキューブはクラウド型のビジュアルコミュニケーションサービスを展開しており「クラウド型が得意なブイキューブとオンプレミス型が有力なパイオニア、両方の強みを組み合わせることで、共に成長を遂げ、ビジュアルコミュニケーション市場をさらに活性化できる」(ブイキューブ代表取締役社長の間下直晃氏)。これにより、2014年5月からは、新会社「パイオニアVC」として新たなスタートを切ったところだ。
両社の強みの違いについて、パイオニアVCの代表取締役副社長である間下浩之氏は「ブイキューブは動画像を中心としたビジュアルコミュニケーションが強み。パイオニアVCはデータ共有を中心とした“ビジュアルコラボレーション”が特徴だ。コラボレーションの定義は幅広いが、ここでは“何かを作り出す作業を協力して行うこと”だと考えており、実業務を行う協力基盤を提供することを目指している」と語る。
実際に同社では、これまでも多くの業務用途での導入実績を持つ。現在の導入企業数は200〜250社で、そのうち約8割が製造業だという。大手の自動車メーカーや自動車部品メーカーなどが採用している他、文教向けなどへの導入事例もあるという。
製造業向けの導入事例としては、設計・製造業務におけるCADデータや図面のリアルタイム共有が最も多い。CADデータや2次元図面を共有しながら議論をし、実際の画面に印などを入れながら、最適な設計に仕上げていく。また共有するものは部品や製造物などの現物や、進捗表、衝突実験などの動画映像などがあるという。
またパイオニアでは、全社で導入されており、約1100部門、約5000人の登録ユーザーが、年間3万7217回も同システム上で会議しているという。また車載機器事業の新製品説明を全て同コラボレーション基盤を通じて行い、22カ国への出張および試作品コストを削減することに成功した事例もある。
その他、CADのオフショア設計などでは、委託先企業がCADの操作に問題があったり、最適な処理を行えなかったりするケースもある。こういった場面で実際のCAD図面に指示を書き込みながら説明することなども可能で「指示設定書を半分に削減できた他、手戻りなども削減できた」とパイオニアVC 取締役の小橋英治氏は実績を語っている。
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