アジレント・テクノロジーは、誘導結合プラズマ発光分光分析計(ICP-OES)と、液体クロマトグラフ質量分析(LC/MS)装置2モデルの新製品を発表した。環境や食品、製薬医療などの分野において、有害物質検出、血液中の薬物特定といった用途に向ける。
アジレント・テクノロジーは2014年7月11日、誘導結合プラズマ発光分光分析計(ICP-OES)と、液体クロマトグラフ質量分析(LC/MS)装置2モデルの新製品を発表した。環境や食品、製薬医療などの分野において、有害物質検出、血液中の薬物特定といった用途に向ける。
ICP-OES「Agilent 5100 ICP-OES」は、3モデルを用意した。SVDV(シンクロナス・バーティカル・デュアルビュー)モデルは、独自のダイクロイック・スペクトル・コンバイナ(DSC)技術を搭載し、プラズマからの光をアキシャル方向とラディアル方向から同時に分析することができる。これによって、アキシャル方向とラディアル方向を別々に連続して分析していた従来の装置に比べて、分析スピードは55%高速化した。これによって、一試料あたりの分析時間およびガスの流量を半分にすることができる。装置の形状も従来の700シリーズに比べて設置面積で40%削減し、重さは半分とした。
Agilent 5100は、SVDVモデルの他、VDV(バーティカル・デュアルビュー)モデル、RV(ラディアルビュー)モデルを用意した。VDVモデルは必要に応じて、設置した現場でSVDVモデルへのアップグレードが可能である。RVモデルは、ラディアルビューのみで対応可能な石油などエネルギー分野に向ける。価格はSVDVモデルで1200万円から。
液体クロマトグラフ質量分析(LC/MS)装置の1つ目が、イオンモビリティ機能を搭載したQTOF(四重極飛行時間型)LC/MS装置「Agilent 6560 IM QTOF LC/MS」である。QTOFシステムは、工業製品中に含まれる不純物の解析やバイオマーカーの探索、脱法ドラッグなどの同定などに用いられている。
Agilent 6560は、現行の「Agilent 6550」をベースに均一直流電場イオンモビリティ機能を追加した。これによって、衝突断面積の決定が容易となった。また、小さな構造異性体差の分離を可能とした。さらに、複雑なサンプルから、より多くのスペクトルを得ることができるという。価格は9000万円から。
LC/MS装置の2つ目が、トリプル四重極型LC/MS装置「Agilent 6495 トリプル四重極LC/MSシステム」である。現行の「Agilent 6490」をベースとしながら、イオン透過量の最適化や、新設計のテイパー型コリジョンセル採用などによって、Agilent 6490に比べて、検出感度を約3倍に改善している。スキャンスピードは20%向上した。さらに、堅牢性も高め、安定した感度を維持することができるという。
価格は6000万円から。環境や食品関連用途では各種残量農薬のスクリーニングや同定などに適している。製薬関連では高感度な医薬品の分析や、バイオマーカーとしてタンパク質やペプチド、核酸などの分析に活用することが可能である。
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