今回のソニーの発表では、2015年度以降の成長に向けた技術開発の方向性についても説明がなされた。
例えば、家庭向けでは、いつでもどこでも好きな情報や映画、音楽などが最適な形で楽しめる「ライフスタイルUX」というコンセプトを基に関連技術や機器の開発を進めていく。
モバイルでは、新たなライフスタイルを築くウェアラブル機器、デバイスではイメージセンサーやバッテリー、低消費電力技術などの開発を行う。情報処理関連では、認識技術、ユーザーインタフェース、AR技術などの進化に力を注ぐ方針を示す。
技術開発を担当するソニー執行役EVPデバイスソリューション事業RDSプラットフォーム担当の鈴木智行氏は「これらの技術の進化はエレクトロニクスの主力3事業の製品力を高めるとともに、新規事業創出にもつなげられる」と話す。また2014年4月には、新規事業の事業化を推進する専門組織を立ち上げ、新たな事業の創出に向けた取り組みを強化するという。
ソニーは、2014年度で構造改革が成功し2015年度以降に成長フェーズとなったとしても、ゲーム&ネットワークサービス、モバイル、イメージング関連という「現在のエレクトロニクス主力3事業の枠組みは変えない」(平井氏)としている。それぞれの市場環境は厳しさを増しており、将来的な市場の成長性や競争環境の変化は読めない状況が続く。その中でカギを握りそうなのがウェアラブルデバイスの存在だ。
同社では既にリストバンド型スマートウェア製品「SmartBand」などのウェアラブルデバイスを展開しているが「例えば、バッテリーでは現在はスマートフォン用が中心となっているが、その次はウェアラブルデバイス向けが主力になってくると見ている。その時にソニーが得意とするゲルポリマー型の高容量なリチウムイオン二次電池は強みを発揮できる」と鈴木氏は語る。
バッテリーだけではなく、モバイル事業においてもスマートフォンの周辺商材として相乗効果を発揮できる他、イメージング事業やゲーム事業などとも親和性が高い。2015年度以降の成長フェーズ移行を目指す中、今後普及が大きく広がると見られるウェアラブルデバイスに掛かる期待は大きい。
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