日本メクトロンは、「フレキシブル触覚センサー」や「ストレッチャブルFPC」、「3D成形FPC」など、FPC(フレキシブルプリンテッドサーキット)ベースの新技術を参考出展した。特に、薄型のセンサー構造体をFPCに内蔵したフレキシブル触覚センサーや、このセンサーを用いて試作した触覚グローブが、来場者の注目を集めた。
日本メクトロンは、医療機器設計/製造の総合展示会「MEDTEC Japan 2014」(2014年4月9〜11日、東京ビッグサイト)において、「フレキシブル触覚センサー」や「ストレッチャブルFPC」、「3D成形FPC」など、FPC(フレキシブルプリンテッドサーキット)ベースの新技術を参考出展した。特に、薄型のセンサー構造体をFPCに内蔵したフレキシブル触覚センサーやこのセンサーを用いて試作した触覚グローブは、多くの来場者の注目を集めていた。
フレキシブル触覚センサーは、従来のFPC製造工程を用いて、内部に薄型のセンサー構造体を作りこんでいる。構造は、電極を形成したベースフィルムと新たに開発した感圧材料を重ね合わせ内部を中空とする。柔軟なシート状の上部(可動部)に加圧されると、圧力に応じて抵抗値が大きく変化し、その強さや場所を検知する仕組みだ。内部に設けられた絶縁膜により、ある一定範囲の中空が保たれており、シートを曲げても誤検知しにくい構造とした。
「一般的な圧力センサーは、加える力があるレベルを超えると出力される抵抗値は一定となるが、新開発の感圧膜は圧力レンジが広く、圧力検知の能力に優れている」(説明員)と話す。例えば、センサー素子サイズが0.35×1.10mmで、モジュール当たりのセンサー数が32以上の場合で圧力レンジは10gf/cm2〜数kgf/cm2という研究成果が報告されている。ただし、センサーシートの上部に保護用フィルムなどを積層する場合、その素材によって感度が低下する可能性はある。なお、会場では4mmピッチでセンサー素子を形成した触覚センサーで展示デモを行ったが、2mmピッチでセンサー素子を形成することも可能であるという。
フレキシブル触覚センサーのもう1つの大きな特長は、「通常のFPC製造工程をそのまま利用できる」(説明員)という点である。このため、触覚センサーの大面積化や大量生産に向いている。同社では、2014年度中の量産化を目指しているという。
会場では、フレキシブル触覚センサーをグローブ状に加工した展示も行った。手のひら用、間接数の違いによって親指用とそれ以外の指用の、3つのパーツを作り分け、それを組み合わせて合計1000ポイントのセンサー素子からなる触覚グローブを試作した。ロボットハンドや義手などの用途を視野に入れている。また、加圧検知マットレス、スマートフォンの入力インタフェースをはじめ、ウェアラブル機器や医療、ロボット、自動車などのさまざまな分野/用途に応用できる可能性が高い。
なお、フレキシブル触覚センサー技術は、その構造や関連するソフトウェアも含めて産業総合技術研究所や東京大学と共同で開発し、FPCによる試作/製造を同社が担当した。
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