ANSYS 15.0は、構造/流体/電磁界それぞれの分野で機能改善を図った。日本向け記者発表会では、それぞれの分野の新機能トピックが明かされた。
アンシス・ジャパンは2014年1月29日、CAE新製品「ANSYS 15.0」の日本向け記者発表会を開催した。ANSYSが強みとしてきたマルチフィジックス機能の他、HPC対応、プリ処理、構造/流体/電磁界それぞれの分野で図った改良・改善について説明した。同製品の国内出荷日は、同年2月3日。
ANSYSはさまざまな解析分野を包括するマルチフィジックスCAEであり、さまざまなツール群で構成される。この記事では、構造、流体、電磁界の3分野に分けて、新機能の主なトピックを紹介する。
構造解析関連では、まずゴムやプラスチックなどの大変形機能を強化。大変形時のリメッシュ機能を追加したという。また複合材の解析機能では、プリ処理の段階でのサブモデリングを採用したことで、層間せん断強度の計算精度が向上したという。
大規模アセンブリの解析については、パーツごとかつ平行処理でメッシングさせることで、従来のメッシング処理と比べて約30倍の速度で処理可能としたとのことだ。また個別に作成した有限要素モデルをアセンブリする機能も追加した。各モデルの全詳細設定が利用可能だ。
騒音・振動解析では、新ソルバーを採用したことで、従来バージョン比で40〜50倍計算速度が向上したという。
ボルト部の解析については、ねじ山の刻まれた詳細形状ではなく、円筒面の接触としてモデル化できる。このことで、従来バージョン比で計算速度は約10倍向上したと言う。
流体解析関連では、ワークフロー、ソルバ能力、HPC性能の3つをテーマに改善・改良した。特に回転機械(ターボ機械)の流路解析を強化した。プリ処理における作業をできるだけ自動化し、GPUやソルバ機能など計算性能面も向上させた。
複雑な化学事象を扱う汚染物質排出、振動による疲労、波打つ液体や水の界面などの解析に対応した。
非定常流れの解析で特定した時間依存の圧力負荷を強制応答解析に直接エクスポートする機能を追加した。
最大3000万セルに対応可能なアジョイントソルバーも搭載し、最適化解析も強化した。熱流束や温度の平均や分散を考慮したさまざまな積分として観測量を定義可能だという。
マルチフィジックス機能としては、流体/構造の連成解析も強化。流体と構造体の部品間の伝熱解析を改善した。
電磁界解析関連では、電気モーターや駆動装置における低周波電磁界解析関連機能を強化した。低周波電磁界解析と構造解析により、音響解析に対応した電磁力の連成が可能だ。電気自動車(EV)などのモータに生じる振動ノイズの低減・除去の検討に使える。
マルチフィジックス機能では、電磁界解析と流体解析も強化し、アーク放電が解析可能になった。プラズマは流体として扱われる。
マルチドメインシステムシミュレータ「Simplorer」と、組み込みコード自動生成ツール「SCADE Suite」の連携で、制御システムのソフトウェアとハードウェアの協調設計を可能とした。
新しい「VHDL-AMS(ハードウェア記述言語) HEV(ハイブリッド車) ライブラリー」は、HEVを簡単にプロトタイプできるライブラリだという。組み込みソフトウェアと制御システムを連携させる。
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