矢野経済研究所が発表した日系製造業現地法人のIT投資に関するアンケート調査では、2013年のIT投資が前年比40%増と大きく成長した一方、予算の決定権は日本が持つとした企業が50%以上を占める結果となった。
矢野経済研究所は2014年1月28日、ASEAN4カ国(タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア)における日系製造業現地法人のIT投資に関するアンケート調査結果を発表した。その結果によると、これらの国々の現地法人へのIT投資額は、2013年は前年比40%増の800万円となった(関連記事:日本企業のASEAN、中国への進出が引き続き増加――IDC調査)。
調査は、ASEAN4カ国(タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア)の日系製造業現地法人71社を対象とし、2013年10〜11月に、Webアンケートと電話調査で行われた。
ASEAN4カ国への日系製造業現地法人の2012〜2014年のIT投資額について、アンケート調査の中央値で見てみると2012年が570万円、2013年が800万円と2013年は前年に比べて40%伸長した。
日中関係の影響などを受け「チャイナプラスワン」の動きが日系企業に広がる中、ASEANへの新たな拠点設立などがここ数年進んだ。またグローバルサプライチェーンを見直す動きなどもあり、現地拠点におけるIT整備が進んでいる状況を表す結果となった。
これらの動きの一方で、2014年(予測)のIT投資については770万円となり、2013年比ではほぼ横ばい。右肩上がりに増えるという状況ではないようだ。
しかし、IT投資額は拡大傾向であるにもかかわらず、現地法人への決裁権委譲はあまり行われていないのが現状のようだ。
「現地法人にどの程度IT投資に関する決裁権があるか」の質問については、「全て現地法人にある」が45.1%、「全て日本本社/地域統括会社にある」が18.3%、「金額や分野によっては日本の承認を得る」が35.2%となった。「全て日本本社/地域統括会社にある(18.3%)」と「金額や分野によっては日本の承認を得る(35.2%)」を合計すると53.5%であり、日本本社に決裁権があるという企業が半数以上を占める結果となっている。
矢野経済研究所では「ASEAN4カ国の現地法人が持つIT予算額は日本国内と比較して小さく、また決裁権も大きくないことが示されている。グローバル拠点全体での経営情報の可視化や経営判断の最適化の動きから、今後とも日本本社や地域統括会社の投資予算権限は強まるものと考える」という考察を示している。
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