初開催となる今大会のアーキテクト部門には13チームが出場した。優勝したのは、「Special Boys」(SCSK 中部システム事業本部)と「男子力∞MAKOTO」(宇部工業高等専門学校 ETロボコン同好会)の2チーム。かなり毛色の違う両者のパフォーマンスであったが、ともに最高の魅力点(177.5点)を獲得しており、まさかの同点優勝となった。
Special Boysが開発したのは片付けロボット。単なる掃除ロボットではなく、対象物をちゃんと認識して、それがあるべき場所まで持って行くというシステムで、物体の認識には「Kinect for Windows」を利用していた。技術的にも高度なことをやっていたのだが、見事だったのはその演出。追加ミッションを用意し、それをクリアしてみせることで、審査員からプラスアルファの得点を引き出せていたのではないだろうか。
男子力∞MAKOTOは今回唯一の高専チームなのだが、企業チームや大学チームに勝つという快挙。このチームの勝因はとにかく「勢い」だろう。おそらく、技術的にはそれほど高度なことはやっていないのだが、「巨大ロボットとの合体」「さらわれた姫を救出」と男子的妄想がさく裂!! トークの巧さもあって、会場は大爆笑に包まれた。スタート直後の転倒は本気だったのか演出だったのかは分からないが、演出だったとしたら見事だ。
第3位は「FUJIDREN」(富士機械製造)だった。このチームのテーマはサーカスで、急勾配を上り切った後に挑んだのは一本橋(実際には二本だが)。道幅は1.5cmほどしかなく、落ちないようにするには高い走行精度が求められるが、見事一発で成功した。ただ、魅力点が142.5点にとどまったのは、見せ方の問題だろう。難易度は高かっただけに、ゴール時の演出がもう少し何かあればよかったかもしれない。
優勝した2チームはどちらも技術の「見せ方」が非常に上手かった。営業ならともかく、エンジニアにこういった能力が必要なのかと思われるかもしれないが、製品を世の中に出すためには、まずは社内で企画を通す必要がある。何が魅力なのか伝えるためには、プレゼンの能力も重要だろう。上司から命令されるまま開発しているだけではダメだ。現場からどんどん企画提案できるようなエンジニアになってほしいと思う。
ただ、両チームのテーマは、比較的思い付きやすいものだったともいえる。片付けロボットは掃除ロボットの延長上だし、魔王退治はゲームのRPGそのものだ。自動運転など、何チームかがテーマにしたものもあり、次回は、もっと斬新なテーマも期待したいところだ。今大会では、走行体とスマートフォンで相性診断を行った「進撃のR-GRAY」(ソフトウェアコントロール 西日本事業部)などは意外性があってよかった。
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