企業活動に多くの効果をもたらすとされる「小集団活動」ですが、今回は小集団活動の進め方と実施上の要点など、より具体的な小集団活動の進め方を中心に解説します。
モノづくりの経営改善手法であるIE(Industrial Engineering)による品質改善の方法を紹介する本連載。前回から2回にかけて小集団活動について紹介しています。
前回の「QCサークルを超えた小集団活動の効果的な進め方(1)」では、小集団活動について理解を深めるために、小集団活動の歴史と概念について説明をしました。今回は小集団活動の進め方と実施上の要点など、より具体的な小集団活動の進め方を中心に解説していきます。
小集団活動が活発に実施されている多くのケースは、その活動の目的が深く理解され全員がそれを共有し、かつ、現場の管理監督者の協力を惜しまない強い姿勢によって支えられています。会社や職場のニーズを正しく把握し、活動の方向を誤らないようにしていくことが大事です。そのためには、以下で説明する具体的な活動の進め方とその要点を正しく理解しておくことが欠かせません。
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効果的な小集団活動を推進していくためには、次のような手順に沿ってシッカリと行うことが大切です。
小集団活動のグループ編成は、グループ名称、所属組織名(課、係、班など)、グループリーダーの氏名、グループ員の氏名と人数、改善テーマの内容を決めてグループを結成し、社内の取りまとめ部門(事務局)へ提出します。
(a)グループ編成は、職種や業務内容、勤務形態、取り組む活動テーマなどによって異なります。いずれにしても、グループとして効率的に機能し、良い成果が得られるように活動の行いやすい単位でのグループ編成に配慮しなければなりません。
(b)グループの編成人数は、一般的に5〜10人が最も活動がしやすい適性人員とされています。しかし、適性人員でグループ編成ができるかどうかは、職場の人員構成や職場環境によって事情が変わってきます。例えば、交代勤務のために、なかなか全員が顔を合わせられない職場であるとか、長期出張の多い職場といったところでは、常時顔を合わせられる人数がグループ活動として適正であるかどうかを確認して、10人前後の人数でグループを編成して活動を行うようにします。
また、逆に10人以上のグループ編成になるような場合は、グループを分けてサブグループ、ミニグループなどを作って、グループ単位で役割を分担して活動する方が効果的です。グループに所属する全員が活動に参加しているという実感を持ち、責任ある役割分担を果たすためにも10人前後の適性人数でグループを編成する必要があります。何よりも、人員の適正化によって効果的なグループ活動を進めることができるからです。
例えば、3人以下などのようにグループの構成人員が少なすぎる場合は、メンバー相互の啓蒙や創造的な発想が少なく、なれ合いになりやすいなどの影響が出てきます。また逆に、12人以上など多すぎる場合は、発言者が片寄りやすくまとめにくい、役割の配分が難しい、形式的な参加になりやすいなどの傾向が出てきます。
活動テーマと目標は、会社や部門の目標や方針に沿っていることが大切です。また同時に、全グループ員にそれらを納得してもらう努力を怠ってはなりません。さらに、グループ活動でテーマを取り上げた理由を明確にし、成果の把握方法を決めると同時に、効果の予測をして目標を決めることなどが必要になります。
活動テーマと目標設定の留意点は、「部門の目標を割り付けられていて、自主性が発揮できない」「自主的にテーマや目標を設定して、自由に活動してよいのだろうか」あるいは、「部門の目標と自主的なテーマの違いは何か」など、グループからさまざまな問題が提起される場合があります。
職制による活動であろうと、自主的なグループ活動であろうと、企業内の活動であることには違いありません。いずれの活動でも、ただ漠然とした活動では効果は上がりませんし、グループ員それぞれの“ヤル気”も出てきません。全員が高いモチベーション(ヤル気)を維持しながら活発な活動を行っていくためには、グループの活動レベルをよく把握して、成熟レベルに合ったテーマや目標の設定をしていくことが必要です。例えば、未成熟の場合は、「活動の楽しさ」や「目標達成の喜び」を容易に味わえるような身近なテーマを選んでみることも大切です。テーマと目標設定の段階において意識しておかなければならない点は、次の通りです。
(a)常に会社の状況や方針、職場への期待を明確に説明して、それらについて、グループ全員が理解を深め、問題意識を持つように日頃からの意思疎通を行っておくことが必要です。
(b)管理監督者あるいは事務局は、グループのテーマ決定に先立って、グループの相談に乗り助言をしていくことが大切です。
(c)グループの成熟レベルを考慮して、問題が大き過ぎるときは問題を細分化して、グループ自らの手で解決できるようなテーマ設定とすることが必要です。
(d)極力、目標や成果の管理にはデータを用いて、悪さ加減をデータで捉えることができるようにし、改善前後の評価や活動の進捗状況が容易に把握できるようにしておく必要があります。
(e)テーマの選定を放任しておいて、グループ自らが決定してから「方針や期待と反するからテーマを変えろ」というようなことがあってはなりません。
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