非接触操作などのユーザーインタフェース(UI)以外でのモーションセンサーデバイスの活用に注目し、空間演出やデジタルサイネージ分野などでの具体的な導入・開発事例を紹介。同時に、組み込み市場におけるモーションセンサー活用の課題と可能性についても考察する。
前回は、「モーションセンサーデバイス」のユーザーインタフェース(UI)としての活用例や、「ナチュラルユーザーインタフェース(NUI:Natural User Interface)」を実現するに当たっての注意事項を解説しました。
モーションセンサーデバイスは、身体の動きやジェスチャーによる「非接触操作」を実現するUIとしてだけではなく、他にもさまざまな場面で活用されています。連載第3回では、UI以外でのモーションセンサーデバイスの活用に注目し、実際にどのようなシーンで利用されているかを紹介していきます。
モーションセンサーデバイスは、身体の動きやジェスチャーによる操作手段としてだけではなく、さまざまな分野での活用アイデアが具体化されてきています。例えば、空間演出やデジタルサイネージ分野では、ある意味、本来の目的・用途を超えたモーションセンサーデバイスの使い方が提案されており、その斬新なアイデアに驚かされます。
以降で、マイクロソフトの「Kinect for Windows(Kinect)」をはじめとする、各種モーションセンサーデバイスの“UI以外での活用例”を幾つかご紹介します。
まず、人の位置や動きに合わせて映像を変化させる、空間演出としての活用例を見ていきましょう。
Natural Softwareの中村薫氏とantymarkによる、「プロジェクションマッピングとKinectを組み合わせた光る階段」は、階段にプロジェクターの映像を投影し、人の動きをKinectで捉え、階段の上り下りに合わせて映像を変化させるというものです。
この事例のように、プロジェクションマッピングとモーションセンサーデバイスを組み合わせることで、建物や空間などに映像を映し出すだけではなく、人の動きに合わせて映像をインタラクティブに変化させるような空間演出が可能となります。
もう1つの空間演出としての活用事例は、エヌエスティ・グローバリストによる「Interactive Carpet BRAVO MAT(ブラボー! マット)」です。超単焦点プロジェクターで床面に映像を投影し、2台のKinectを使って人が歩いた位置を検出します。この例も、Kinectの距離センシングの機能を上手く活用し、足元の動きに合わせて水面に波紋を広げたり、金魚を近寄せたりといった演出を実現しています。
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