「フランクフルトモーターショー2013」では、開催国であるドイツの自動車メーカーやティア1サプライヤによる「電動化」と「自動化」に向けた取り組みが目立っていた。
「デトロイトショー(NAIAS:North American International Auto Show、北米国際自動車ショー)」、「ジュネーブサロン(Salon International de l'Auto)」と並んで、世界3大モーターショーに数えられる「フランクフルトショー(IAA:Internationale Automobil-Ausstellung)」。自動車を基幹産業に持つ国のモーターショーとして威信を懸けたショーである上に、不況にあえぐ欧州の中で唯一、景気を保っているドイツの自動車産業の力強さを示す場でもあった。
今回の展示で、特に目立ったのは「電動化」と「自動化」だ。
Volkswagen(フォルクスワーゲン)グループは、同グループの前夜祭のリポートで報告した通り、Porshce(ポルシェ)ブランドの「パナメーラ」のハイブリッドモデルを全てプラグインハイブリッド車(PHEV)に切り替え、グループ初の市販電気自動車(EV)となる「e-up!」を2万6900ユーロで発売することを発表した。続いて、2014年の前半にはAudi(アウディ)ブランドからPHEVの「A3 e-トロン」を投入。そのフォルクスワーゲン版となる「e-Golf(eゴルフ)」も追って発売される。
フォルクスワーゲン/アウディのEVやPHEVに搭載されるリチウムイオン電池は、旧三洋電機時代から長らく検討してきたパナソニック製を採用する可能性が色濃い。モーターは、現段階ではRobert Bosch(ボッシュ)製を採用しているが、電池もモーターも技術的には過渡期にあり、性能とコストのバランスを重視して、随時検討を続けていくという。フォルクスワーゲングループの技術担当役員からは、「世界全体のモーター市場で高シェアを占める企業との話し合いの機会を持っている」との情報も得た。
ポルシェの新型PHEV「パナメーラS eハイブリッド」は、現段階でSB LiMotive製リチウムイオン電池とボッシュ製モーターを採用する。最高出力245kW/最大トルク440Nmを生む排気量3l(リットル)のV型6気筒ガソリンエンジンと、アイシン・エィ・ダブリュ製の8速自動変速機(AT)にモーターとクラッチを内蔵するハイブリッド機構を組み合わせたパラレル方式のハイブリッドシステム自体は従来と同じだ。変更点は、モーターの出力を36kW増の70kWにし、システム全体で最高出力306kW/最大トルク590Nmまで高めたことだ。これに伴って変速プログラムの変更と、エネルギー回生能力の向上がなされている。
リチウムイオン電池の容量を9.4kWhへと大幅に増強し、NEDC(New European Driving Cycle:新欧州ドライビングサイクル)換算で最大36kmまでのEV走行が可能になった。最高時速は270kmで、時速0〜100kmの加速時間は5.5秒へと短縮しつつ、100km走行当たりの燃料消費量は従来の7.1lから3.1lまで減らした。近い将来、SUV「カイエン」のハイブリッドモデルもPHEV化する予定である。
Jaguar Land RoverのSUV「レンジローバー」からは、初の市販ハイブリッドモデルである「スポーツ ハイブリッド」が登場した。排気量3lのV型6気筒ディーゼルエンジンに、出力35kWのモーターを組み込んだZF製8速ATを組み合わせたディーゼルハイブリッドで、システム全体では最高出力250kW(340ps)/最大トルク700Nmを誇る。一方、CO2排出量は169g/kmと、ディーゼルエンジンモデルより26%削減した。2014年中に発売される見込みだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.