パナソニックは、カーナビゲーションシステム「ストラーダ」のメモリータイプ製品「Rシリーズ」向けに、ヘッドアップディスプレイ(HUD)「フロントインフォディスプレイ」を発売する。市場想定価格は約6万円。
パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社は2013年9月2日、カーナビゲーションシステム「ストラーダ」のメモリータイプ製品「Rシリーズ」向けに、車両の前方から視線を外さずにナビゲーション情報などを確認できるヘッドアップディスプレイ(HUD)「フロントインフォディスプレイ」を発売すると発表した。発売日は10月下旬で、市場想定価格は約6万円。月間生産台数は500台。
市販カーナビ向けのHUDとしては、パイオニアが運転席の天井部に設置するバイザータイプの「AR HUDユニット」を2012年5月に発表(関連記事:なぜ映像が浮かび上がるの? 近未来のカーナビが登場した)。JVCケンウッドも、ルームミラーに取り付けるタイプのHUDを標準装備する「彩速ナビ」を2013年5月に投入している。フロントインフォディスプレイは、これらとは違い、ダッシュボード上に設置するタイプの製品である。
HUDの映像表示はLED光源を使って投影する。映像を表示するコンバイナユニットのディスプレイ寸法は幅160mm×高さ70mm。画素数は横480×縦240となっている。「ドライバーにとっては、目線から約70cm離れた場所に、6.5インチサイズの映像が表示されているようにみえる」(パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ)という。
ダッシュボード上に設置する必要があるため搭載可能な車種は限られる。発売時点で、対応しているのは、トヨタ自動車の「アルファード」、「ヴェルファイア」、「プリウスα」、「アイシス」、「ポルテ」、「シエンタ」、「スペイド」、日産自動車の「モコ」、ホンダの「フィット ハイブリッド」、ダイハツ工業の「ムーヴ コンテ」の10車種。
パナソニックは、Rシリーズの新製品である「CN-R300シリーズ」を、フロントインフォディスプレイと同日に発表している。CN-R300シリーズは、インダッシュタイプの市販カーナビとして初めて、日本の準天頂衛星「みちびき」を用いた高精度のナビゲーションに対応(関連記事:「みちびき」を使って測位精度を向上、パナソニックのポータブルナビ「ゴリラ」)。市場想定価格は10万円で、月間生産台数は2機種合わせて1万3000台である。
このCN-R300シリーズと、2013年6月に発売したRシリーズの第1弾製品「CN-R500シリーズ」の月間生産台数を合計すると2万3000台となる。フロントインフォディスプレイの月間生産台数は500台なので、装着率は2%強にすぎない。パナソニックが装着率を低く設定しているのは、搭載可能車種が限定されていることが最大の理由だ。
ただし、HUD単体の価格としては、パイオニアのAR HUDユニットの10万円よりも安価である。また、JVCケンウッドの彩速ナビはHUDを標準装備するモデルの価格が25万円だが、CN-R300シリーズの市場想定価格は10万円なので、フロントインフォディスプレイを付けても16万円にとどまる。
なお、PND(Personal Navigation Device)で知られるGARMINが発表した、同社のスマートフォン向けカ―ナビゲーションアプリと無線接続で連携するHUDは、フルカラー表示に対応していないものの、価格は約130米ドル(約1万2800円)と極めて安価だ。
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