チャイナリスクなどからASEANへの工場シフトを進める日本企業が増えているが、進出先として注目されている地域の1つがベトナムだ。タイ駐在の藤井氏による本連載だが、今回はベトナムに出向きベトナム・ハノイ地域の状況を紹介する。
ベトナムは中国と同様の共産主義国家だが、もともと支配体制が異なっていたホーチミン側とハノイ側で状況は大きく異なる。今回はより中国に近いハノイ側の工場区を訪問させていただいた。
実は2013年は、日本とベトナムの外交関係樹立40周年だ。にぎやかだった2012年の日中国交正常化40周年に比べると、非常に静かに40周年を迎えている。
今回訪問したのは、野村不動産が運営する「野村ハイフォン工業団地(NHIZ)」だ。同工業団地の担当者は「この工場団地は歴史が古く、チャイナリスクの影響もあり、大手の進出も増えている」と話している(関連記事:生産拠点としてベトナムのポテンシャルは?)。
同工業地帯からの製品運搬はトラック輸送が中心となっており、そこから空港や港に運搬し、海外への輸出が行われている。筆者が現在駐在するタイ・バンコク地域と比較すると、自動車産業へ集積する動きなどは見られないが、キヤノンを筆頭に、ブラザー工業、富士ゼロックスなど事務機関連の大型工場が、この工場団地周辺に立地している。
この地域で現在最も大きな進出企業は韓国のサムスン電子だ。大型の工場を立地し、いわゆる“サムスン村”を形成している。これまで投資額で最も大きかったキヤノンを抜く勢いだといい、ベトナムでも韓国勢の勢いを感じさせている。
生産系ITシステムの導入については、既に現場での導入決定が進む中国の工場群などと比較して、ベトナムにおけるローカルでの決定力は極めて低い。大手企業の工場担当者からの返答は軒並み「日本本社で決定すること」ばかりだ。
現在のところ、日本への輸出率の高いベトナム工場と、国内に大市場を抱える中国工場との環境の違いが影響しているのかもしれない。
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