人材会社の「転職で年収アップ!」という広告に刺激されて、ついつい転職を考えてしまう人は少なくないでしょう。しかし、「年収アップ」だけを目的とした転職は、長期的に見るとマイナスに働くことだってあるのです。
本記事は「Business Media 誠」で2011年06月01日掲載の記事 「「転職で年収アップ!」はウソ?」 に加筆・修正して転載しています。
年収500万円が700万円に!――。そんな広告を見た記憶はありませんか?
脳天直撃のキャッチコピーに刺激され、ついつい転職を考えてしまった方もいらっしゃるかもしれません。ですが、この手の広告はウソではないものの、1度冷静になって考え直してみてください。
リクルートキャリアが2013年3月に発表した「第24回転職世論調査」によると、転職して年収が「前職よりも上がった」は48.9%。確かに「前職よりは下がった」の34.4%よりも高くなっています。
転職後の年収は、景気の影響を強く受けるようです。2010年9月のデータでは、「前職よりは下がった」が46.4%で、「前職よりは上がった」が38.3%とほぼ逆の結果となっていました。
「年収アップ」を目的とした転職者は多く、「第24回転職世論調査」を見ると31.7%。転職理由1位の「会社の将来に不安を感じて」(51.9%)に次いで2番目に多い転職理由となっています。
実際、私自身も人材業界に近いところで働いていて、「今の職場/年収に不満があるから転職する」というネガティブな理由で転職を考えている人が、特に20〜30代歳前後で多いように感じています。ですがその心情は理解できますが、短絡的に「年収アップしたい!」という動機だけで転職しても、長期的に考えるとその人にとってプラスにならないことが多いように思うのです。
というのも、「年収アップ」だけを目的とした転職には、次の2点のような落とし穴があるからです。
それぞれ、詳しく説明していきます。
私の考える「転職して年収アップする主な理由」は、次のとおりです。
気を付けてほしいのは特に「年功序列型のトラディショナルな企業から、パフォーマンス重視の外資・ベンチャーに転職」のケースです。「住宅費補助付き。残業代は全額支給」など、伝統的な日本企業は福利厚生などの総合的な報酬が充実しているところが多いです。対して外資・ベンチャーは福利厚生を抑える代わりに年収を増やしているところもありますし、成果が出せないと年収ダウンのリスクもあります。
「年収は増えたけど、毎年貯金できる額は減った……」ということだって十分に起こり得ます。転職することで、なぜ自分の年収が上がるのか。その理由を把握せず安易に転職すると、入社からしばらく経って後悔することになりかねません。
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