2012年度通期業績を下方修正したルネサス エレクトロニクス。しかし、「半導体の需要減は2013年1〜3月期で底入れし、2013年4月以降はゆるやかに回復する見込み」(同社社長の赤尾泰氏)だという。
ルネサス エレクトロニクスは2013年2月8日、東京都内で会見を開き、2012年度(2013年3月期)第3四半期(10〜12月期)連結業績と、下方修正した2012年度業績予想(関連記事)などについて説明した。
会見に出席した同社社長の赤尾泰氏は、「2012年度下期の業績は、世界的な市況停滞の継続、中国市場向けの自動車や電子機器などの生産減による半導体需要減の顕在化などによって下方修正せざるを得なかった。しかし、2013年の世界の半導体市場規模は、米ドルベースで前年比4.9%増と想定している。実際に、当社顧客や販売代理店からいただいているフォーキャスト(発注見込み)を見る限り、需要減は2013年1〜3月期で底入れし、2013年4月以降はゆるやかに回復するだろう」と語る。
この他、Nokiaから買収したモデムIC事業など携帯電話機向けICを手掛ける子会社のルネサス モバイルの売り上げ貢献時期についてもコメントした。「現在のルネサス モバイルの売上高は、フィーチャフォン向けが中心で、赤字だ。しかし、既に約20件デザインインしているスマートフォン向け製品の売り上げが、2013年度の半ばから後半には立ち上がる」(赤尾氏)という。
さらに赤尾氏は、経営陣の進退に関する報道陣の質問に対して、「経営陣の進退については、今後出資を仰ぐ産業革新機構を中心とする株主が決定することなので、私からは何も答えられない。しかし、私個人としては、(業績低迷に対する)経営責任を感じている」と回答した。
ルネサスの2012年度第3四半期の半導体売上高は、世界的な市況停滞の継続、中国市場向けの自動車や電子機器などの生産減による半導体需要減の顕在化により、前年同期比11%減の1772億円にとどまった。この売上高の減少により、2012年10月に実施した大規模な人員削減による固定費削減効果は打ち消され、営業損益は同40億円悪化の79億円の損失となった。経常損益も同75億円悪化の111億円の損失、純損益も同442億円悪化の466億円の損失となっている。直前の2012年7〜9月期と比較しても、半導体売上高、利益面で全て悪化した。
第3四半期の半導体売上高を事業分野別でみると、マイコンが前四半期比12%減の712億円となった。汎用マイコンが同15%減少し、これまで好調だった車載マイコンも中国市場の需要減によって同10%減と落ち込んだ。アナログ&パワー半導体(A&P)は、同15%減の578億円。汎用品が同20%減の大幅減となり、車載品も前四半期比で減収となった。ただし、スマートフォン向けの液晶ドライバICは堅調だった。SoC(System on Chip)は、PC周辺、自動車向けの減少や、一部事業の縮小の影響もあり、前四半期比18%減の451億円となった。
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