良君、そんじゃ早速、さっき登場した「バンバン板金設計の即戦力になるフロー」の3にへいるぞ。これは(1)と(2)の復習を兼ねているからなぁ。
それでは早速、甚さんが言うように、復習を兼ねて図1を見てください。
図中左側のL型部品に関してですが、その加工において、材料がボール紙の場合は、何も問題はありません。
しかし板金で製造するとなると、図中左側のようにクラック(ヒビ割れ)が生じます。このクラックは、加工中に入る場合が多く、また、部品の使用中に繰り返し応力が加われば、クラックは増長し、いずれは破断する場合もあります。
いわゆる不良品です。製造不良といわれる場合もありますが、筆者は「設計不良」だと思います。そこで設計不良を未然防止する最低限のワザが、甚さんシリーズの「甚さんの設計サバイバル大特訓」のメインテーマである「断面急変探索」でした。
「断面急変探索」をマスターしねぇとぉ、「バンバン板金設計の即戦力になるフロー」の50%にも到達できねぇし、「3⇒4⇒5⇒6」と行けねぇぞ。でぇじょうぶだろうなぁ? あん?
甚さん、ぼくを誰だと思っているんですか? 「仕事取りに行かない、待っているだけのCAE技術者」ですよ。……あ、あれ!? いや、「仕事を自分から取りに行く、CAE技術者」ですよ!
図1に戻りましょう。
図中左側の部品で、「断面急変部」を探索し、対策が必要と判断したならば、「バンバン板金設計の即戦力になるフロー」2の記事に掲載されている「絵辞書」を見ます。
この絵辞書で、「W≧2t+R」に相当する規定寸法を探してください。そして、この式に値を代入します。
例えば、「板厚1.6mmの板金」の場合、通常、曲げRは「R=1.6」となります。つまり、板金の曲げRは、図面指示がなければ板厚と同じ値となります。これを「板厚曲げR」と呼びます。従って、「W≧2×1.6+1.6=4.8≒5mm」となります。
そして、図1の右側がバンバン板金設計のプロの設計となるわけですね。実は僕、この甚さんシリーズで解説されたことは全部マスターしていますよ!
さすが院卒! そして、仕事を積極的に取りに言っている模範的なCAE技術者だぁ! ちょっと時間かかっているが、随分成長したなぁ。エリカちゃんもほめていたぞぉ。
え、本当ですか!? でへへぇっ……。
ここで、信じられない現象があります。次の図2に示す斜めにカットした壁をL字で曲げた練習問題を出した途端に悩む設計者(?)が存在します。
何を悩んでいるのか不思議でなりません。きっと「機械工学」「機械設計」という言葉に恐れをなしているのかもしれません。もっと気を楽にして、板金設計を楽しみましょう。若手設計者なら、失敗大歓迎です!
それでは、図2のクラック対策として図3へと進みます。
図1と図3のクラック対策は、全く同じだと気が付きます。
オイ、良君! 図3を見て、何か思い出すかぁ?
あっ、前回の「ルール違反」の事例です。図4のように「現物」を見るとすんごく、実感がわきます。ほんと、学校でもこうやって教えてほしかったなぁ……。
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