製品を形作る部分である駒(こま)を製作するためのワイヤーカット加工については、セット加工を採用し効率化を図った。主な仕組みは、CADとCAMの連携と、加工工程に合わせたロボットの自動制御、ワーク自動交換の3つとなる。
ワイヤーカット加工は2次元の外形データさえあればいいので、加工前に形状を自動で単純化する(厚さ方向の形状を取り払う)。形状を単純化した後は、3次元単独図にあらかじめ指示された面精度が設定され、自動で色分け表示する。
ある程度大きさのある「メイン駒」は単品加工するが、小さな駒については単品でいちいち対応すると効率が悪いので、材料や高さなどが同じ部品をまとめて「セット駒」にして加工する。セット駒は、使用する鋼材に対し加工効率のよい配置が自動設定される。
加工時の機外段取りとワーク交換の作業はロボットに担当させ、最大で72時間の無人稼働も可能とした。NC加工機についてもロボットが活躍しており、工具交換も一部無人で実施されている。
いずれの加工機も、2台の同じ加工機の間にロボットを配置して作業させているのが特徴だ。ロボットは2台配置して作業連携させることもある。
このようなロボットによる自動システムは、山形カシオが独自で開発している。メーカーに依頼せず自社開発にすることで、迅速かつ柔軟な対応とコストダウンをかなえている。
なお同社の生産現場では、装置の情報がネットワーク経由で集中管理され、エラーが起これば、直ちに担当者に無線で連絡がいく仕組みとなっている。よって稼働している装置ごとに人が張り付いている必要がない。
実際に加工された金型の精度を測定する3次元計測で使用するパス(測定箇所や順番)は、NCデータと同時出力される。測定データはEXCELデータとして吐き出され、そこに貼り付けられたXVLの3次元データとともに結果評価が可能だ。設計データと実測データは自動照合が可能だ。
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