デザイン家電メーカー ビーサイズの八木氏が、MONOist編集担当のムチャブリに応え、“リアル”Facebookガジェットを開発。クラウドファンディングで公募をスタートした。記事後半は、八木氏の「一人家電ベンチャー相談室」。
以前、MONOistの記事で紹介したビーサイズ(神奈川県小田原市)の代表取締役 八木啓太氏は企画から、回路/筐体設計・試作、試験・評価、量産、梱包(こんぽう)デザイン、販売、営業……など、全てを1人でやってしまう。記事で登場した同社のLEDデスクライト「STROKE(ストローク)」は初回ロットも売り切り、現在は以降の発注分の生産と出荷に対応しながら、「Bsize」ブランドの次期新製品を開発している。
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さて今回は、そんな同氏に、次期新製品とは別に「何か、面白いものを作っていただくことは可能ですか?」とMONOist編集担当が持ち掛けてみた。「面白い」と言ったって、いろいろある……。そんな“ムチャブリ”ともいえるリクエストだったが、八木氏は快諾してくれた。
「この企画の話をいただいて、アイデアを練り始めたときに、ちょうどFacebookの通知が目に留まり、以前から感じていた、“ある感覚”を思い出しました」と八木氏。
“ある感覚”とは、こんな感じだという。「Facebookって、Webブラウザを起動していないと気になるし、でもチェックばかりしていても気が散ります。通知が来るとうれしいような、でもあんまり頻繁に来ると煙たいような……。それが、『面白い感覚だな』と思ったんです」(八木氏)。
八木氏は、「この感覚に訴える製品はどうだろうか?」と、さらに、その発想を掘り下げていった。
今やインターネットの通信量は従量制ではなく、“つなぎたい放題”の定額制が一般的だ。PC起動時は、常時、インターネットに接続しているのが普通になった。そんな時代、Facebookを常時、Webブラウザに表示させておくこともよくある。
しかし同氏が言ったように、これが結構、気が散る……。新着の印を見ると、ついついそれをチェックしたくなってしまい、あわよくば返信までしたくなってしまう……。なので常時表示させず、あらかじめ決めた時間でまとめてチェックするという人もいるだろう。
「通知を待ち望んでいる人、反対にちょっと距離を置きたい人、どちらの人も“ソーシャルネットワークとの適度な距離感”が設定でき、“リアルな接点”となる製品が面白そうだと考えました」(八木氏)。
こうして企画製品「NOTICE(ノーティス)」のコンセプトが固まった。
NOTICEは、以下の写真のように使う製品だ。
NOTICEのフロントパネル部に描かれているのは、Facebookの画面の左上に並んだアイコンをほうふつとさせる図柄。この製品は、USBケーブルでPCに接続して使用する。
上で紹介したコンセプトから、その用途は容易に想像が付くだろうが、これはFacebookの「いいね!」やメッセージの新着などをFacebookのGUIさながらに表示するグッズで、その名の通り「通知」してくれるというわけだ。着信した瞬間には、「ピ!」と電子音も鳴る。電子音をOFFにするサイレントモードや、ある程度の着信数がたまるまで知らせない「Do Not Disturb」モードも設定できるという。
NOTICEの機能は非常にシンプルで、それ以上でも、それ以下でもない。同社のSTROKEの事例からもうかがえるように、八木氏のアプローチでは、1つのコンセプトに向かって、極力、無駄を削ぎ落とす。機能もデザインも「本当に必要と思えるものだけ」に厳選する。
ただ、実際に物を見ると、そこに「時計を付けたい」「Gmailの新着も見たい」「ライターが欲しい」「ペン立て用の穴は?」「無線にしたら?」などと、要求がいろいろと浮かぶものだ。「ほかの色も欲しい」と言う人もいそうだ。
もちろん、その後の反響次第では、こうした要求の一部が採用される可能性もあるそうだ。
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