話は台無しに終わってしまいましたが、確かにあんなに非力なマシンが当時は数十万円もしたかと思うと、隔世の感がありますね。もっともハカセよりもう少し公平に言うなら、DSi(または3DS)の本体は“別料金”となります。
ちなみに当時のBASICはおいくらだったの? というと、大抵のBASICはハードを買ったら付いてくるというか、おおむね「電源を入れる=(イコール)BASICが起動する」というものだったので、単純な値段計算はしづらいですね。BASICがいかに(半ば強制的に)親しまれていたかは、こんなところでも分かります。
思えば、かなり不親切な時代ではあったのかもしれません。ヘルプもチュートリアルもなく、電源を入れるといきなりこんな画面が出てくるのですから。
これが『プチコンmkII』のBASIC起動画面じゃな。ワシも昔を思い出すわい(遠い目)。
やはり懐古趣味なのでは?
そそそ、そういう一面はあるかもしれんが、このシンプルさが純粋に魅力でもあるのじゃよ。
ボクらの目には、シェルウィンドウっぽくも見えるんだけど……。
まあ、同じコマンドラインUI(グラフィックを使わず、テキストの入出力を中心に構成されたユーザーインタフェース:CUI)じゃから、フンイキは近いのう。マイコン全盛期当時は、基本的にこのレイヤーでファイルの扱いからプログラミングまでをやりくりしておったが、プチコンの場合はこっちをコマンドランチャー的な「実行モード」として、エディタの役割の「編集モード」と機能を分けておる。こう言うとそれなりにイメージできんじゃろか。
どっちかと言うと、エディタと実行環境が分離してなかったマイコン時代が想像しづらいですよ。コードが長くなると大変だったのでは?
まさしくその通りじゃ。何しろ『上方向にスクロール』も『1画面ごとに入力待ち』もできないのが普通じゃからな。行数で範囲指定して1画面分だけ開いたり、スクロール中に強制停止させたり、いま思えば不便なものじゃった。
ス、スゲエ時代だな……。正直触る気もしねえぜ……。
いやいや、その点プチコンはだいぶ今風じゃよ。もっとも実行モードでもコマンドを受け付けているわけじゃから、このくらいはできるぞい。
オ、『HELLO WORLD』じゃねえか! ……しかし、どストレートな命令だな、PRINT"HELLO WORLD!"。
これを編集モードでプログラムとして書くと、どんな感じなんですか?
こうなるかのう。
そのまま……、なの?
宣言も特殊な記述もナシ、コマンド感覚でいきなり書けるというのがBASICのお手軽なところじゃよ。命令の文法もシンプルで感覚的に分かりやすい方じゃし、ワシがオススメする理由の1つじゃな。
逆にここまでシンプルだと、低機能過ぎてロクなプログラムが書けねえ気もするぜ!
フム。確かにもともとBASICは初心者向けを意識した言語じゃからのう。あんまり超絶技巧を期待されても困るが、これで案外あちこちで超絶技巧を発揮した猛者たちのプログラムが見受けられるのじゃよ。
1文の中で一気に矛盾したコトを言い切りやがった……。
ところでこの編集モードでは、まだエディタで書いたコードの状態ですよね。実行するにはどうするんですか?
おお、脱線するところじゃった。ここもBASICのお手軽さじゃが、実行モードからコマンドを打つだけじゃよ。プチコンの場合、DSi/3DS本体の[START]ボタンを押すだけというショートカットもあるイージーさじゃ。
プログラム実行のコマンドが『RUN(走る)』って、分かるような分からないような……。
ン? そういや『プログラムが走ってる』とか、よく言うな。そういう業界用語かと思ってたゼ……。
さよう。『プログラムが走る』という言い回しは、BASICのRUNコマンドが語源じゃと言われておるな。30年近く後までこんな俗語が残るとは、さすがに当時は想像しておらんかったわい。
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