300台のサーバを社内に抱える日本無線。ITコストや消費電力がばかにならない。仮想化技術でサーバを集約したことに加え、NTTデータやNTTデータ先端技術とともに高電圧直流(HVDC)技術を採用し、消費電力を引き下げた。HVDCはどのような場合に消費電力を低減できるのだろうか。
NTTデータとNTTデータ先端技術、日本無線の3社は、2012年3月8日、サーバの消費電力を引き下げる技術を実用化したと発表した。ソフトとハードの両面から解決したことが特徴。ITコスト引き下げのための取り組みだ。
ソフト面では仮想化技術を利用するプライベートクラウドを採用*1)することでサーバ台数を60台から7台にまで削減、ハード面ではサーバへの給電方式を一新することで熱損失を低減し、消費電力を引き下げた。
*1) 日本無線社内にプライベートクラウド環境を構築するため、NTTデータの「BizXaaS構築・運用サービス」を導入した。
利用したハードウェア技術は、高電圧直流(HVDC)送電。サーバに直流電流を送ることで、電力変換ロスを減らし、HVDC部分だけでも10〜20%の電力を削減した。
今回の取り組みは、新技術の開発というよりも既存技術を組み合わせて、商用システムを作り上げたところに意味がある。「HVDC給電システム『FRESH HVDC』の出荷を2011年に開始しているが、ほとんどのユーザーはまだ試験導入の段階にある。サーバ側などの対応が遅れていてもあまり問題になっていないのはこのためだ」(日本無線)。「直流入力可能なサーバや直流の配電が可能なラックと組み合わせて初めて、HVDC給電システムを広く提供できるようになる」(NTTデータ)。
日本無線の社内システムとして、2012年3月5日から稼働した。NTTデータによれば、HVDCを使った商用システム基盤としては日本初だという。「今回、社内に置いた300台のサーバのうち60台をHVDCとプライベートクラウドに置き換えた。運用状況をみながら、今後1〜2年をかけて300台全てを同じ環境に置き換える計画だ」(日本無線)。
HVDCシステムの導入はこれまで実証実験などの形で進んできた。例えば、さくらインターネットは北海道の石狩データセンターのコンテナ型データセンターにおいて、NTTデータ先端技術や河村電器産業、日商エレクトロニクスと共同で、HVDCの実証実験を2011年5月に開始している。石狩データセンターではHVDC導入により、10数%の電力削減に成功している(図1)。
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