メガソーラーの建設が前四半期比で3.7倍に増え、住宅の屋根置き用途が前年同期比4割近く伸びたという太陽光発電協会の発表は耳に新しいところです(関連記事:日本の太陽電池産業、明らかな成長の影で進む構造変化)。
これほどの勢いがあれば、他国よりも太陽電池の普及が進んでいるように思えます。実際のところはどうなのでしょうか。
200社以上が加盟する*1)太陽光発電システムに関する世界最大の業界団体European Photovoltaic Industry Association(EPIA)は、さまざまな統計資料やドキュメントを公開しています。EPIAが2012年1月26日に公開した「Market Report 2011」(資料ページ)を読むと、楽観的ではいられなくなります。
*1)京セラや三洋電機、シャープなどの現地法人も加盟している。
2011年までの累積導入量(図1の右列)を見ると、「4700MW」とあり、日本はドイツ(24700MW)、イタリア(12500MW)に次いで3位にあることが分かります。40年続いてきた研究開発と国の地道な支援政策が実った形です。
ところが、2011年の新規導入量(図1の中央列)では、6位に後退。8割近い電力を原子力で賄っているフランスにすら及びません。2011年の欧州は経済危機のさなかにありましたが、それでもこれだけの導入量を継続しています。導入量の多い10カ国を円グラフに加工した図2を見ても、日本の導入量が決して多くはないことが分かります。
全世界の太陽光による発電能力は800億kWh、ヨーロッパだけでも600億kWhに達しています。これはヨーロッパの平均的な世帯に換算すると1500万世帯の年間消費電力を賄う規模に相当します。
先進諸国の成功事例や失敗事例に学び、無理なく太陽光発電システムを普及させていく必要があります。
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