東日本大震災ではさまざまなインフラが甚大な被害を受けた。その1つが携帯電話基地局だ。外部電源が断たれても動き続ける基地局を作るにはどうすればよいのだろうか。太陽光発電システムと二次電池を組み合わせる手法だろう。燃料の入手が難しかったり、コスト面で折り合いが付きにくい発展途上国向けのソリューションとしても優れている。
東日本大震災ではさまざまなインフラが甚大な被害を受けた。その1つが携帯電話基地局だ*1)。緊急時には安否確認、情報収集など、携帯電話機を利用できるか否かが生死を分けることもある。被災の状態はさまざまだが、その1つが停電だ。
*1)例えば、イー・アクセスの携帯電話基地局は、震災直後に878カ所で被災している(イー・アクセス 2011年3月期 決算説明資料)。
停電に対応するには非常用電源があればよい。なるべくメンテナンスが必要ない電源が望ましく、いざというときに人手を頼らず動作すればなお好ましい。そこで、イー・アクセスは、ファーウェイ・ジャパンと共同で、太陽電池を利用した「ソーラー&ディーゼル・ソリューション」の導入を検討。2011年12月、特定の1基地局に導入したことを発表した。
ディーゼルエンジンの他、出力160Wの太陽電池モジュールを39枚利用することで、外部電源(系統電力)が途絶えたときにも7日間稼働可能だ(図1)*2)。同基地局は、半径10kmをカバーする規模であり、同時に300端末と通信可能だ。
*2)二次電池が100%充電されていた場合。
「ソーラー&ディーゼル・ソリューションの特長は太陽電池モジュールやディーゼル発電機ではなく、制御装置にある」(ファーウェイ・ジャパン)。制御装置の消費電力が小さく、出力変化に柔軟に対応して効率を高められるため、非常用のシステムに向く(図2)。
同ソリューションには2つの意味があるという。1つは以上のような災害対応だ。もう1つはCO2(二酸化炭素)排出量削減やTCO削減である。「イー・アクセスは災害対策にまず着目し、現在はCO2排出量削減が主な目的になっている」(ファーウェイ・ジャパン)。
同ソリューションは日本国外で既に多数導入されている。日本では震災対策が重視されているが、国外では状況が異なる。何が重要なのだろうか。
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