では実際に館林ソーラーパークの設備の細かいところを見ていこう。まず採用した太陽電池モジュールはHyundai Heavy Industries(ヒュンダイ)の単結晶シリコン型「HiS-S245MG」だ(図2)。
変換効率は約15%で、宮崎ソーラーウェイで採用したソーラーフロンティアのCIS薄膜型に比べると、5ポイント程度高効率だという。今回の敷地面積ではより面積に対する効率を求めることが重要で、同効率でも国産モジュールに比べて廉価なことが採用の理由としている。
このモジュールを縦4枚、横15枚つないで60枚を1つのアレイに乗せた(図3)。トータルでは31アレイ、合計1860枚のモジュールがこの敷地内のほぼいっぱいに並んでいる。
設置角は20度(図4)で、15度以上の設置角を付ければホコリなどが堆積する心配はないため、ほぼメンテナンスフリーだという。なお、宮崎ソーラーウェイの設置角は、10度だそうである。北半球では南に行くほど太陽が高くなり、角度が付けられなくなる。
電力はアレイごとに「接続箱」と呼ばれるボックスに集められる(図5)。その後、直流集電盤に集まる(図6)。31基のアレイは4つのブロックに分けられており、それぞれのブロックごとに直流集電盤に集められたのち、2基のインバータで交流に変えられる。館林ソーラーパーク全体の最大発電量は445kWで、インバータは2基合わせて500kWまで対応できる。
インバータの出力は440V(図7)。送電の都合に合わせてトランスで6.6kVに昇圧したのち、送電線に乗せている(図8、図9)。館林市も府中市も、東京電力のサービスエリア内であるが、東京電力に直接電力を送るには、特別高圧と呼ばれる20kV以上に昇圧する必要がある。しかし電気を受け取る側の府中事業所が特別高圧で受けていないため、東京電力に直接接続するのではなく、間に特定規模電気事業者(PPS)のエネットを経由して接続している(図10)。
構内には日射計(図11)や温度計、監視カメラなど複数のセンサーが設置されており、それらの情報とインバータの電力情報を現場に設置したワークステーションでデータ処理(図12)して、リモート監視(図13)できるようにしている。そのため、普段は無人であるという。
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