日産自動車が2014年の商用EV車発売に向け、実証運行開始電気自動車

EVの発売が相次いでいる。主に乗用車としてのEVだ。日産自動車は商用車もEVで狙う。郵便集配業務に使うEVやEVタクシーだ。乗用車とは走行パターンが異なるため、仕様確定に先立ち、実証運行を開始した。

» 2011年07月06日 10時20分 公開
[畑陽一郎,@IT MONOist]

 日産自動車は、小型商用車「NV200」*1)ベースのEV(電気自動車)を、2014年に世界各国で投入する。そのための実証運行を2011年7月から開始する(図1)。

*1)日産自動車は2009年にNV200の量産を開始し、2011年時点では世界40カ国で販売している。バンタイプとワゴンタイプがあり、バンタイプの車両は、荷物を輸送する用途に使われている。バンタイプは2人乗りで、全長4400mm、全幅1695mm、全高1855mm。車両重量は1200〜1240kg、最大搭載量は600kg。

 実証運行は2段階に分かれる。まず、日本郵政グループの郵便事業(JP日本郵便)にモニター車1台を貸与し、郵便事業が横浜市内で郵便集配業務に2カ月間使用する。配送業務では始動、停止が多い一方、走行する経路は固定的だ。実車の走行パターンから、1日当たりの総走行距離や充電のタイミングなどのデータを集めた後、量産車両に必要な1充電当たりの走行距離や電池容量などの仕様を固める。

 郵便事業の実証運行の後、欧州で同様の実証運行を開始する。実証運行の範囲や、相手先企業は未定である。

 なお、郵便事業は2009年7月に約2万2000台の集配用車両を順次、EVやHV(ハイブリッド自動車)へ入れ替えていく方針を明らかにしている。2010年8月にはゼロスポーツから、約1000台の改造EVを2011年度に調達することが決まっていた。しかし、契約は解除され、後継車が決まっていない状態だ。「量産車両を郵便事業に納入するかどうかは決まっていない」(日産自動車)。

ALT 図1 NV200ベースのEV 郵便事業向けのモニター車である。セダン型のEV「リーフ」と同じEV技術を採用した。

ニューヨークではタクシーに採用

 日産自動車はNV200でEVタクシーも狙っている。ニューヨーク市は、市内のタクシー「イエローキャブ」の次期標準車にNV200を採用することを2011年5月に決めており、日産自動車は2013年から車両の供給を開始する。

 これに先立つ2012年には、日産自動車がニューヨーク市にタクシー用途としてリーフを6台提供する予定だ。「リーフの走行情報を利用して、タクシー用途にもEVタイプのNV200を準備していく」(日産自動車)という。


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