2011年6月22〜24日に開催された「第22回 設計・製造ソリューション展」の今回の注目展示を紹介。本稿では特に設計・開発環境にスポットを当てる。
2011年6月22〜24日開催の「第22回 設計・製造ソリューション展」の出展内容から、本稿では設計・開発に関する注目トピックをレポートする。
NECは自社のBOM製品Obbligato IIIのクラウド展開(リンク参照)などの注目トピックがある一方、CAD、PDMなどの領域ではPTCとの協業も注目を集めた(リンク参照)。NECでは日本企業のニーズに合ったBOMを中核とする情報連携、環境配慮ソリューションなどを展開する一方で、グローバル企業のニーズや、CAD図面の効率的な運用などではPTCのテクノロジーも併せて提供している。
NECブースでは、メカ設計フォーラムでもおなじみのPTCジャパン 営業技術部 プリンシパル アプリケーション スペシャリスト 芸林盾氏のプレゼンテーションが見られた。PTCはCreo 1.0を正式リリースしたばかりということもあり、来場者の注目を集めていた。
「パラメトリックなCADシステムはさまざまな情報を持ち再利用性が高い一方、図面作成者にとっては制約が多く、使いにくいものだった。ノンヒストリ型CADのように扱えるCreo 1.0なら、設計者の負担を最小限にできる」(芸林氏)
ヒストリ/ノンヒストリCAD連携を実現する同様のソリューションの先駆としては、シーメンスPLMが提供する「シンクロナステクノロジ」がある。こちらについては、メカ設計フォーラムで別途稿をあらためて紹介する。
富士通ブースはPLM製品「PLEMIA M3」の展示のほか、2011年10月に正式リリースされる予定の「エンジニアリング・クラウド」サービスに向けた参考出展が見られた(エンジニアリング・クラウドについてはリンク参照)。写真はクラウド経由でメンテナンス情報を提供するための「保守テンプレート」サービスのデモ。先の記事で紹介した通り、クラウド側に仮想クライアントを置くユニークなサービスだ。軽快に動作するリモートデスクトップ環境、という表現が近いだろうか。
過去のシンクライアントサービスと異なるのは、軽快な表示処理を組み込んだことによる操作性の良さや、Webブラウザがあれば動作するHTTPに乗る点だ。解析や部品点数の多い図面の表示処理も個々の環境に処理を依存せず、クラウド側のリソースをふんだんに使って高速に処理できる。処理結果も基本的にはクラウド側に置かれ、端末が受け取るのは画面情報のみであるため、情報集約の面でも利点がある。
参考出展された「保守テンプレート」はクラウドに集約された図面情報活用シーンを想定したもの。メンテナンス部門がタブレット端末などのモバイル機器から部品図面にアクセスしたり、サポート状況を追記することを想定している。
図研ブースはPLMソリューション「PreSight」を中心に置いた構成になっていた。中でも図研 プリサイト事業部長 上野泰生氏のブース内セミナーは聴講者が多数集まっていた。
事前記事でも紹介したように、同社がいう「既存PLMへのアンチテーゼ」は、一言でいえば「エンジニアリングチェーンとサプライチェーンの断絶への反省と批判」といえる。数年来多くの企業が見える化を語ってきた中で、見えていない場合が多い情報の1つが、設計部門の情報だ。PreSightはこの部分を設計“以外”の部門にどう見せていくかに着目しているという。上野氏の既存PDMへの見解などは非常に興味深い内容なので、後日あらためて詳細をレポートしたい。
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