今回はGoogle主催の開発者向けイベント「Google I/O」における発表を軸に、iPhone/iPadと比較しながら今後のAndroidの動向について考察します。
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iPad 2がついに日本でも発売されました。もはやおなじみとなったApple Storeの行列をネットニュースでご覧になった方も多いことでしょう。一方、最強の対抗馬であるAndroidにもいくつかの大きな動きがありました。
Google主催の開発者向けイベントであるGoogle I/Oが2011年5月10〜11日に米国のサンフランシスコで開催されましたが、Android3.1や次のメジャーリリースとなるIce Cream Sandwich、そしてGoogleの音楽ストリーミングサービスの発表など、AndroidひいてはGoogle全体にも重要な内容となりました。
今回はGoogle I/Oにおける発表を軸に、iPhone/iPadと比較しながら今後のAndroidの動向について考察します。
Google I/O(http://www.google.com/io)はGoogleが毎年開催している開発者向けイベントで、例年、Googleの新戦略や新製品についての発表が行われます。実は始まりは2008年からというまだ歴史の浅いイベントで、第1回の目玉の1つがAndroidでした(図1)。昨今のGoogle人気を反映し、5000人分、1枚450米ドルのチケット予約は年を追うごとにヒートアップしています。2009年は90日で、2010年は50日で、そして2011年のチケットはなんと59分で完売したそうです。Googleへの関心の高さを端的に示すものです。
Googleはそもそも検索エンジンの技術と検索連動型広告収入ビジネスから成る企業です。しかし、あらためて申し上げるまでもなく、大量のネットワークサービスや巨大なプラットフォームを供給し、その多くは無料です。従ってGoogle I/Oのテクニカルセッションも多岐にわたり、その数は2日間で80を超えます。その中でも最大の話題はやはりAndroidであり、セッション数も20強とセッション全体の25%を占めましたが、特に初日のキーノートではAndroidが主なテーマとして扱われました。
冒頭ではAndroidの普及に対する報告があり、次のような数字が示されました。
一方、Google I/Oの2カ月前にアップルが開催したiPad 2の発表会では、病気療養中のスティーブ・ジョブスCEOが登壇し、iPhone/iPadに関する実績が語られました。
また、アップルは今年1月22日に累積100億本のアプリケーションがApp Storeからダウンロードされたことを発表しています(2年6カ月で達成)。
今に始まったことではありませんが、今回のGoogleの発表も明らかにiPhone/iPadを意識した内容となっています。携帯電話の端末台数としてはiPhoneとAndroidは横並びになったと考えてよく、後発から追い上げたAndroidが今後着実に引き離していくことが予想されます。
タブレット市場においては、いまだ9割近くのシェアを持つと言われるiPad優位の状況は数年続くという見方もあります。しかし、Androidでタブレット市場を戦い抜くことに決めたGoogleの動きは早く、一時的に互換性を捨てるという決断の末にタブレット向けAndroid実装であるHoneyCombを作り上げました。初のHoneyComb搭載タブレットであるMotorola XOOMの発売が今年2月24日ですから、Androidタブレットの歴史はまだ始まったばかりです。Motorola、Samsung、LG Electronicsといったビッグネームが既にAndroidタブレットを発売しiPadを猛追しています。加えて、RIM(Research In Motion)のタブレットデバイスであるPlayBookもAndroidアプリ実行をサポートしています。RIMのBlackBerryは、北米でiPhoneがついにシェアを抜くことができなかった携帯電話です。ビジネス向けとして今でも人気があり、PlayBookも同種のユーザーを多く獲得すると見られています。
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