今年は一体成型のカーボンモノコック(以下、モノコック)で参上した豊橋技術科学大学(以下、豊橋技科大学)。日本大会で初めてモノコックを採用した学校だ。モノコックの利点は、パイプフレームの車両と比べ軽量かつ剛性も高いとのこと。昨年と大きく違う点は、形状全体の雰囲気。
昨年の同校は丸みを帯びていたが、今年は角々とした形状になっている。平面を入れることで、製作しやすい形状にしたとのことだ。豊橋技科大学ではこのモノコックを自分たちの手で成形している。「うまく作らないとカーボンの層の間に空気が入り、そこから壊れていきます。平面にすることで作りやすく(空気も入りづらく)なり、信頼性も高まりました」(豊橋技術科学大学 チームリーダー 赤澤 直哉さん)。
「昨年の車両は直線の走行については強く、加速性能賞を取りましたが、(オートクロスやエンデュランスなど)コースに出るとタイムが伸びませんでした。今年は旋回性能を向上させるために低ヨー慣性モーメントを目指しました(ヨー慣性モーメントは、車両に対して縦の軸に掛かるモーメント)」(赤澤さん)。
車体の長さはなるべく短くなるようにし、重心付近に重い部品を集め、遠い個所には軽いものを配置することで低ヨー慣性モーメントを狙った。例えば、重心から遠いブレーキディスクやサスペンションアームなどはカーボン製にし、軽量化。
サスペンションはプッシュロッド式を採用し、スプリングなどのパーツを下に寄せることで低重心化を図った。
結果は全体的にあまり振るわなかったものの、デザイン審査は快調で、昨年と引き続きデザインファイナル5校に選出された。
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電子制御が十八番(オハコ)な金沢大学チームは、第1回から参加する古参チームの1つ。ちょうど取材時にチームリーダーが不在だったため、次期チームリーダー(大会当時はフレーム設計担当)の羽倉 隆平さんが応じてくれた。
同校が電子制御にこだわるのは、ドライビング技術が高くない学生であっても、簡単に操作できる環境を重視しているからだという。「他チームの車両と比べ、操作性はかなり優れていると思います」(羽倉さん)。
またエンジンの調子が一目で分かるソフトウェアもオープンソースをベースに自作。「エンジンの健康チェックのようなものですね」と羽倉氏はいう。冷却水やエンジンオイルの温度、エンジン回転数などをモニタリングして解析する。これがエンジンブローの防止にもつながり、車両の安全性をより高めているとのこと。
今年のシャシーは、足回りをしっかりとさせる剛性設計にウェイトを置いたという。昨年の車両では軽量化を目指していたこともあり、今年の車両はそれよりもやや重くはなったが、それよりもドライバーが乗ったときの安心感が増したことの方が幸いとのことだ。
カウルについては、ラジエータ部へ積極的に風を集めるような形状とし、流体解析を取り入れて空力の検証もしたとのことだ。空力の解析については上智大学も以前から取り入れているが、実践している学生チームはまだ非常に少ない。
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