Oracle Agile PLMのPRセミナーでは、受託製造企業として著名な台湾Foxconn社での事例が紹介された。
Oracleが提供するAgile PLMはもともと米国ハイテク企業での採用が多いPLMシステムだ。また、EMSメーカーでの採用実績も多く、Agile PLMは「EMSメーカーTOP10のうち8社で採用されている」という。
プレゼンテーションでは、原価算出のための基礎情報をERPが持つのではなく、PDMが持つべき、という観点に立った考えを基に進められた。
原価をPDMに持たせておく利点は何か。EMS生産を考慮した場合、EMSメーカー側と連携しなくてはならない情報は、会計上の数字だけではない。設計図面やBOM、社内の品番情報や開発スケジュールの提供も必要だ。
こう考えた場合、前述の通り、「原価算出のための基礎情報はERPではなくPDMが持つべき」という考えは非常に理にかなっているものと思われる。
具体的に、EMSメーカーと情報を連携する際に必要となるのは、外注向けのBOM情報である。Agile PLMでは、BOMのスナップショットを「アウトソースBOM」として独立して書き出すことができる。認定ベンダリストやコストもこのBOM情報に含まれているため、このBOM情報をEMSメーカーに提供するだけで、あらゆる委託製品の内容を共有できるようになるというわけだ。
また、「Agileプロダクト・コスト・マネジメント」機能は、原価企画の場面で用いられる。BOM情報にはコストがひも付いていることは前述した通りだが、加えて、Agile PLM上で管理されている既存部品の情報を基に、さまざまな条件を組み合わせた検索によるコストシミュレーションが行える特徴を持っている。こうした情報を原価企画段階でスムーズに参照できるのも、PDMにコスト情報を含めているからこそ実現する。
EMS生産への移行は米国だけでなく日本の主要メーカーの多くがすでに取り組んでいる。設計・開発と生産現場企業を見える形で接続する、Agile PLMのアプローチは今後も注目したい。
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