続いて受信機試験についてご説明します。
受信機の試験には、2.4GHz帯のZigBeeのパケット信号を出力できるベクトル信号発生器、またはGolden Deviceを使用します。ZigBee信号を被測定デバイスに入力して、デバイス側でPER測定を行う、受信感度の試験によって、デバイスの受信性能を評価します。
このとき、デバイスには連続受信およびPER測定を可能とする「テスト用の受信モード」が必要です。また、PER測定にはチップベンダなどから提供されるPER評価ツールを使用します。
※PER…Packet Error Rate。総パケット数のうち、エラーとなったパケットの比率。
受信感度試験に使用するパケット信号は、802.15.4-2003規格に記載のとおり、ペイロード部分にランダムデータを埋め込んだ信号を用意します。MACヘッダー部分(フレーム制御〜アドレス情報)に、被測定デバイスによる指定の値を使用するケースもあります。
ベクトル信号発生器を使用するメリットは、任意の周波数・レベル設定が可能であること、またGolden Deviceに比べて測定結果の信頼性が向上することが挙げられます。ステップ・アッテネータを使用すればGolden Deviceを使用して試験を行うことができますが、周波数や振幅レベルの校正方法を考える必要があります。
・6.5.3.3 Receiver sensitivity
−85dBmという低いレベルの信号を被測定デバイスに入力してPERを計測する、最小受信感度の試験です。このレベルにおいて、PERが1%未満であることを確認します。
・6.5.3.4 Receiver jamming resistance
上記の最小感度試験に妨害波信号源をプラスします。具体的には2台のベクトル信号発生器を用意し(片方、または両方にGolden Deviceを使用するのも可)、コンバイナを通して被測定に2信号を入力し、希望波のPERが1%未満であることを確認します。希望波は最小感度試験よりも3dB高い、−82dBmで入力します。
妨害波は2種類あります。
- 隣接チャネル:希望波の周波数の上側(または下側)に5MHzずれたところに希望波と同じレベルで入力
- 次隣接チャネル:希望波の周波数の上側(または下側)に10MHzずれたところに希望波よりも30dB高いレベルで入力
デバイスに入力するのは1波ずつなので、4回試験することになります。
・6.7.6 Receiver maximum input level of desired signal
6.5.3.3の最小感度試験と同じセットアップ(妨害波はなし)で、被測定デバイスに対して、今度は−20dBm以上という高いレベルのパケット信号を入力します。この状態でもPERが1%未満になることを確認します。
以上が、IEEE802.15.4-2003の送受信機テストの概要です。イメージは分かりましたでしょうか? どちらの場合も、デバイス側でテストモードを用意しておくことがポイントです。
最終回となる次の第5回は、技適の概要をご説明します。
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