試行のスタートから、生産数をはじめとする関係データの実績を取り始めます。この実績に基づいて、フォローアップや指導を行っていくことが大切です。また、作業方法の変更に対して、作業者の強い抵抗があったり、改善を行ったにもかかわらず、作業能率が計画通りに上がらなかった場合には、もう一度、改善の目的、進め方、方法、期待効果などについて再確認をして、その原因を調べて改善案を修正するか、再訓練を行わなければなりません。重要なことは、改善案により標準作業を実施する際に、標準作業の精粗などによっても異なりますが、標準出来高数量も設定しておくことが必要です。標準出来高数量の表し方としては、次のようなものがあります。
また、生産実績表では、データの採り方として、抜けのないように特に次の点を考慮することが大切です。
また、効率(能率)の向上が得られない場合は、その原因を突き止めて対策を講じていかなければなりません。その場合、以下の原因が考えられます。
対策の手掛かりをつかむ1つの手法として、各人の現在の瞬間をベースとした、生産曲線があります。目標に対して、30分単位の実績を把握するもので詳細な分析ができるという利点があります。
1:計画した費用で改善できたか? 発注金額どおりにできたか、もし、できなかった場合は原因や責任元などを把握して、以後の計画に役立たせていくことが大切です。
2:安全性は確保できたか? バリ、安全カバー、回転部とのすき間など、どんな小さなポテンシャルをも排除しなければなりません。すぐに処置ができるものは即刻実施しなければなりません。
3:品質は維持または向上したか? 品質の確認を十分に行わなければなりません。特に、担当技術員の確認のうえで試行するのがいいでしょう。生産実績表を毎日フォローすることも大切なことです。また、作業者の作業方法や機械設備の調子などを必ず確かめて不良発生の事前検討を徹底することが必要です。
4:計画した期日で完成したか? 製作品のメーカーに対する納期フォローは定期的に行わなければなりません。納入予定日の近くになってフォローするようでは、予定どおりに入荷してこない場合が多いものです。また、電話だけのフォローでなく、メーカーに出向いて進行状況を確認することも必要です。予定どおりにできていなかった場合は、発注側の責任か、メーカー側の責任かを明確にして、以後の計画に役立たせるとともに、納期短縮の改善を図ることが大切です。
試行する改善案に対して、ここで再び、「実用的であるか?」「経済的であるか?」「効果的であるか?」を主な確認事項として、考えられる改善案のうちで、一番いい案であるかを再確認しておくことが重要です。
・1:作業指導書(票)の作成 試行段階で新方法を標準作業として、今後も実施・維持していくためには、その作業内容を作業指導書にまとめ、これに従って作業者に指導した後、試行なければなりません。作業指導書のないまま、口答指示で行うとトラブルや目標通りの効果が出ない原因となりやすいばかりか、試行プロセスの過程で変更を加えていく場合も、基準になるものがなければ、その経緯を管理していくことは困難です。
長い間行われてきた方法の変更は、なかなか受け入れられにくく前の方法に戻りやすいので、最初から標準作業で訓練することが必要です。作業指導書の内容としては、一般的に次の項目を記載します。
2:機械設備の操作手順 作業指導書に従って、実際に機械設備の操作をしてみなければなりません。また、非常時の処置などについて、事前に十分に指導しておかなければなりません。
3:安全作業の指導 主として、5S(整理・整とん・清掃・清潔・しつけ)の徹底と、不安全行為などについての指導が必要です。
4:作業手順の指導 作業指導書に従って、新方法の標準作業を十分に指導して訓練した後に、試行段階に移ることが大切です。
5:フォローアップと指導の徹底 2〜4について、毎日フォローして、決められたとおりに実施されているか否かを確認することが重要です。指導訓練の方法として、VTRなどを用いて行うと有効です。
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