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» 2010年04月20日 00時00分 公開

シーメンスPLMの新社長は、元航空機設計者新社長就任にともなう記者説明会

[小林由美,@IT MONOist]

 シーメンスPLMソフトウェアは2010年4月20日、新社長就任にともなう記者説明会を開催した。同社は2010年2月28日付けで、日本法人の代表取締役社長 兼 米国本社 副社長に島田 太郎氏を任命した。同氏は、同社の日本法人としては初めての内部昇格による社長とのことだ。今回の説明会で島田社長は、自身の経歴やビジョン、製造業のための製品の理想像について、親しみやすい表現で語った。

 島田社長は新明和工業で航空機設計に約10年間従事し、「Boeing 777」「Boeing 717」「Gulf Stream GV」「海上自衛隊 US-2」の構造・空力設計や試験、設計統括を担当した。その後、I-DEASの開発元・旧SDRC社(現在はシーメンスPLMソフトウェアと統合)に入社し、マーケティングやコンサルティング、セールスに携わった。

 発表会の前半、島田社長は航空機設計者時代、痛切に感じたことを述べた。

シーメンスPLMソフトウェア 日本法人 代表取締役社長 兼 米国本社 副社長 島田 太郎氏
  • CAE(解析)と設計を同時にできないか「わたしが航空機設計をしていたときは、そのどちらかが先で、両者が同時ということはありませんでした」
  • 設計BOMと製造BOMが連動できないのか 「設計変更を製造BOMに反映させるのに、ずいぶん苦労していました」
  • 工程の見積もりを迅速にできないか「設計して、物を作ってみたら、思ったよりお金が掛かり過ぎていたことがありました」
  • 工場での問題を事前に見つけられないか 「わたしが新明和工業に入社したばかりのころ、自分が設計した図面を持っていったら『どうやって作るのか』と工場の人にとても叱られました。『事前に(加工や生産の)シミュレーションができたらいいのに』」
  • スペックや要求情報の最新情報を見られないか 「特にUS-2に携わったころに感じたことです。自衛隊で、新しい航空機を作るというのは、30年に1回ぐらいしかありません。新機の設計では、旧機の情報をほとんど使いません。ですから、新機の設計では、まずスペック(要件)を作るところから始めなくてはいけません。その情報をまとめるだけでも、非常に大変な作業でした。その資料を基に、防衛庁に対して説明を行うのですが、それは膨大な量のドキュメントになり、しかも、すべてが紙。準備のときはコピー機をフル回転させ、審査の前日になって(仕様変更などがあり)、総動員で紙の差し替えをすることもありました。つまり、そういったことがもっと簡単にできないだろうかと考えたのです」
  • マニュアル作成を簡単にできないか 「航空機は、マニュアル類が非常にたくさんあります。航空機は毎回数機しか作りません。そのうえ、マニュアルの大幅な改訂も起こります。こういった(複雑な事情の)管理がうまくできればいいと思いました」

 島田社長は、上記のような元設計者ならではの視点も存分に生かしつつ、日本法人の旗振りをする。

新社長の考えるPLMの定義

 通常、製造業が何か製品を作り出すときは、設計やモノづくりの準備で、コストが掛かる。製品が完成し、市場に出た時点で、もうけが発生する。それが頂点に達すると、製品が古くなり、売れなくなり、製品寿命が終わる。――島田社長は、製品の生涯について、平易に説明した。

 島田社長は、「製品を正しくプランニングし、売れる製品を作って増資する。そのために、設計だけではなく、マーケティングの要件まで含めた、モノづくりにかかわるさまざまな情報を整理するツール」、すなわちそれが、PLMであると説明した。例えば、その製品のバリエーションを増やすことで製品寿命を延ばし、もうけを増やしていく。

 「モノづくりの情報管理ツールはいろいろありますよね。例えばERPは、モノづくりの準備コストを下げることで、もうける仕組みです。そしてPLMは、『製品の魅力アップ』『製品のローンチを早くする』もしくは『製品寿命を延ばすこと』でもうける仕組みです」(島田社長)。

 なお2010年5月に行われる上海万博の会場で、同社は、いままでとは違う、新しいステージのPLMを発表するとのことだ。その詳細は、まだ明かせないという。

 「いまの日本経済は、アジア圏新興国の急激な成長に頼らざるを得ない状況です。しかし、そのままでは(日本は)確実に厳しくなっていきます。日本企業が生き残るには、国内市場のみではなく、グローバル市場でも頑張らなければいけないと思います。それには、グローバルで設計し、データシェアし、そして展開することが重要です」(島田社長)。

 そこをかなえるのが、すなわち、同社の提供するPLMだと島田社長はいう。

「CAEと設計を同時に」とはつまり?

――社長が掲げる「CAEと設計を同時に」というビジョンは、御社製品でどのように実現させるのでしょうか?

島田社長:(設計と解析は担当が分かれていて、扱うデータも違うため)例えば、設計部門からきたデータに、解析担当が一生懸命、1カ月ぐらいかけてメッシュを切って、解析を完了させたころには、もう設計が変わっていた……といった状況になりがちです。設計と解析の作業をリアルタイムに連動させることは、非常に重要な課題だと思います。どうしたらリアルタイムになるのかというと、そのために重要な技術が(当社には)いくつかあります。

 その1つは(当社のCAEに組み込まれている)「アセンブリメッシュ」という機能です。部品を作る段階、つまり部品単位でメッシュが切れ、さらにメッシュを切ったものをアセンブリできる機能です。そうすれば、設計したものにはメッシュがあらかじめ切られていて、それをまるごと解析側に渡し、すぐに解析を走らせることができる。つまり、CAEと設計の壁が取り払われ、リアルタイムな連携ができると考えます。

 もう1つ、重要なのは設計物とメッシュとの関連性です。どのコンフィギュレーションで物を作ったのか? 解析のデータ管理も重要になってきます。そこを当社のPLM(Teamcenter for Simulation)でバックアップします。

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