あっ! 甚さん……この図2だけで分かりました。『負荷応力+ケミカル=割れる』に、注目すればいいんですね! フムフム……簡単、超簡単!
べらんめぇ! 何度いったら分かるんだ。教科書の読みすぎだ。役立たずの院卒め! おめぇ、もしかしたら日本人技術者だろう? あん?
そうですとも〜! 僕は納豆の大好きな日本人ですとも〜! キムチも好きですけど……ヨシギューのCセットは、牛丼+味噌汁+キムチでワンコイン!
いいか良く聞け! 図2で『割れる』に注目するのは、非常に良いことだ。しかし、これは学校のレベルだ。技術者が注目すべきは『割れやすい』の方だ。学問と実務の相違を思い知れ! 役立たずの院卒め!
分かりました、甚さん! エーと『割れる』は実務においては誰もが知っている。または、誰かが知っている。しかし……。
そうなんです。良君のいう通りです。つまり、誰もが、「負荷応力+ケミカルで割れる」をマークしますが、「割れやすい」は設計審査を潜り抜け、市場トラブルの原因となり得るのです。
そのとおり! やけに、さえているじゃねぇかい! さすが、富士山麓大学の院卒だ!
院卒だってたたいたり、持ち上げたり……いったいどっちなのだ……。
一気にベテラン設計者へたどり着くためには、このような技術的要領が求められます。そして、このようなノウハウを聞ける、または、容易に質問できるのが、図1における最前列の席なのです。
よーし、ケミカルクラックの実務要点を把握したら、次は、ウェルドラインだ。
ウェウェウェル……甚さん、チョ、ちょっと早いですよ。
早い、ウマい、安い! 汁ダクは、塩分を取りすぎだからやめろ。次に、『恐怖のウェルドラインから逃れる設計サバイバル術』を教えっから、良く聞け!
ねえ甚さんってばっ! やはり、進行が早いからICレコーダで録っていいですか?
てんめぇ、このやろう! いつかの“ICレコーダ事件”をけろっと忘れやがったなぁ?
樹脂は、金属の型の中をまるで溶岩のようにドロドロとした熱い樹脂が流れて成形されます。流動抵抗があまりにも大きいので、大きな圧力を加えて型の中へ押し出します。
このとき、どうしても回避できないのがウェルドラインです。図3に示す例では、上下ともに2方向からの「溶岩」には温度差があり、さらに接合するときは一瞬の間ですが、空気層を生成してしまい、いわゆる「ライン」と呼ぶ「面」ができてしまうのです。
分かりました、甚さん! うどんや餅をこねるとき、2つ折りにしても、その2つの面がなかなか融合しないのと似ていますよね?
なんか、今回は、さえまくっているじゃねぇかい、良君! 専門学校でも通いはじめたのか? あん?
違いますよ、甚さん。専門学校卒のエリカちゃんと一緒に仲間を作って勉強会を始めたんです。そのリーダーがエリカちゃんで、サブリーダーが僕です。
エリカちゃんをリーダーにしたか。さすが、富士山麓大学の院卒だ。サブリーダーなら、できるってかぁ?
実は、僕が実質のリーダーなんです。彼女をリーダーにすれば、美人なんで多くの仲間がそろったんです。
そういうところは、いっつもさえているなぁ! 実質のリーダーというなら、その証拠を見せろ!
簡単さぁ! うちの職場には反面教師の課長がいますから、彼と逆の考え、逆の行動を取ればいいと分かったんです。それを、常に彼女へ助言しています。
なるほど! その課長って例の課長かぁ? 図面読めねぇ、公差計算できねぇ、設計審査できねぇ、特許チェックできねぇ、しかし、TOEICだけがハイスコアってヤツだよな!
そうです! ……ところで、甚さん! 『恐怖のケミカルクラック』と『恐怖のウェルドライン』は理解できたんですが、その強敵に向かう『設計サバイバル術』はありますか?
まずは、ケミカルクラックに対する『設計サバイバル術』だ。2つあるぞ!
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