国際安全規格から見るサービスロボット産業Windows Embeddedセミナーレポート(4)(3/3 ページ)

» 2010年02月12日 00時00分 公開
[八木沢篤@IT MONOist]
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 続いて、地元長岡の組み込み関連企業、マイクロソフト、業界団体による講演の模様をお届けする。

.NET Micro Framework 4.0を用いたプログラミング教育について

 組み込み機器の需要が拡大する一方で、組み込み技術者の不足が懸念されている。

 そんな中、平成21年度学習指導要領の情報分野において「組み込み」というキーワードが追加され、高等教育の早い段階で組み込み技術に触れることが可能になり、興味や関心を抱く場を確保できるようになった。


永田 隆広氏 画像12 NS・コンピュータサービス 第4営業部 永田 隆広氏

 続いて登壇したのは、NS・コンピュータサービス 第4営業部 永田 隆広氏。「.NET Micro Framework 4.0を用いたプログラミング教育について」という講演を行った。

 講演では、「学生がプログラミングを楽しく、分かりやすく学ぶことができる組み込み教材」をテーマに同社が開発したオリジナル教材の導入実績や今後の展開について紹介された。

 ちなみに、以前「組み込みで使えるWindows 7の新機能トップ7」で紹介したセンサ内蔵グローブの開発を手がけたのも同社だという。


NS・コンピュータサービスが開発したオリジナル教材のハードウェア仕様 画像13 NS・コンピュータサービスが開発したオリジナル教材のハードウェア仕様

ETロボコンによる開発力とビジネス機会の強化

 続いて登壇したのは、ETロボコン実行委員会 本部実行副委員長 渡辺 登氏。「ETロボコンによる開発力とビジネス機会の強化」というテーマで講演を行った。

渡辺 登氏 画像14 ETロボコン実行委員会 本部実行副委員長 渡辺 登氏

 ご存じのとおり、ETロボコン(ETソフトウェアデザインロボットコンテスト)は産学官の連携によって運営され、モデル開発のエキスパート育成を目的に「ロボット走行システムのソフトウェア設計モデル評価」と「ロボット走行性能(タイムレース)」の2つの側面で審査する競技だが、「共通の課題に取り組み、競い・学ぶ機会を提供する側面だけでなく、ビジネス機会の増加にも期待できる」と渡辺氏はETロボコンの魅力を語った。

 なお、2010年2月9日、ETロボコン2010の記者向け説明会が開催され、開催地区や現在検討段階の新走行体のイメージが紹介された。詳しくは「組み込み技術者の熱き頭脳戦『ETロボコン2010』説明会」をご覧いただきたい。


ET2009の模様を紹介 画像15 ET2009の模様を紹介

組み込みアプリケーションとクラウド活用

 アプリケーションの適用分野によっては、非常に膨大な端末数を管理することになる組み込みアプリケーションは、クラウドとの親和性が高い。組み込みシステムのネットワーク化が進むいま、クラウドを活用したシステム開発が注目されるという。

田村 貴夫氏 画像16 ソリマチ技研 主任技師 田村 貴夫氏

 本講演では、NS・コンピュータサービスと同じく長岡に拠点を置くソリマチ技研の主任技師 田村 貴夫氏が登壇。「組み込みアプリケーションとクラウド活用」と題し、クラウド活用の設計・開発ノウハウやマイクロソフトのSilverlightを用いたアプリケーションのデモンストレーションを行った。


Silverlightを用いて開発したATMのメニュー 画像17 Silverlightを用いて開発したATMのメニュー

組込み技術者育成と評価方法について

〜ETEC組込みソフトウェア技術者試験の活用と事例〜

 恒常的に不足している組み込みソフトウェア技術者のスキルレベルを客観的に評価できる指標、「ETEC組込みソフトウェア技術者試験」について、ETEC運営事務局 近森 満氏が講演を行った。

近森 満氏 画像18 サートプロ 代表取締役/社団法人 組込みシステム技術協会 ETEC運営事務局 近森 満氏

 「高品質・生産性=スキルレベルの低い人が少ない集団。スキルレベルのアップが品質・生産性の向上につながる」(近森氏)とし、実際の採用企業の事例を交え、ETECの活用方法について披露された。

 なお、@IT MONOist組み込み開発フォーラムでETECクラス2の問題をドリル形式でお届けする連載「“組み込み力”向上! ETEC対策ドリル Step2」が公開されている。興味のある方はぜひ参考にしていただきたい。


スキルレベルの比率による生産性の違い 画像19 スキルレベルの比率による生産性の違い

Windows Embeddedと組み込み開発者コミュニティ「エンベデッドフォーラム」のご紹介

 さまざまな組み込みシステムで活用される商用OSの1つ「Windows Embedded」の全体像・ロードマップについて、現在の組み込みシステムが置かれている状況・トレンドを踏まえて講演を行ったのは、マイクロソフト OEM統括本部 OEMエンベデッド本部 シニアマーケティングマネージャ 松岡 正人氏。

松岡 正人氏 画像20 マイクロソフト OEM統括本部 OEMエンベデッド本部 シニアマーケティングマネージャ 松岡 正人氏

 「これまで提唱してきたスリー・スクリーン(PC、携帯電話、テレビ)の時代から、さまざまなデバイスがクラウドにつながり、新しいサービスをいつでもどこでも同じように利用できる時代へと移り変わろうとしている」。また、「リッチなユーザーインターフェイスを持つアプリケーションをタッチパネルで操作したい」といった組み込みシステムのトレンドを紹介し、こうした変化に対するマイクロソフトの戦略が語られた。

 さらに松岡氏は、聴講していた学生・若手エンジニアに向けて、「われわれの世代は、コンピュータの発展とともに歩むことができたため、発展のたびに技術を学ぶことができた。しかし、現在では技術の進歩が著しく、また要素技術も広範となり、組み込みエンジニアを目指すいまの若者たちの置かれている状況は本当に大変だと思う。これからは全体を理解でき、かつその中で強みを持っている人材が求められるだろう」とエールを贈った。

 そのほか、松岡氏から産学連携・交流の活性化を目的に組織されたコミュニティ「エンベデッドフォーラム」の紹介や世界中の学生を対象にした技術コンテスト「Imagine Cup」についての説明も行われた。

クラウドサービスとの連携について 画像21 クラウドサービスとの連携について

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