オートデスクは2009年12月9日、「Autodesk Inventor Fusion Technology Preview 2(TP2)」(同年10月発表)の説明会を行った。「Autodesk Inventor Fusion Technology Preview」(以下、Fusion TP)は同社のプレビュー版ソフトウェアで、ノンヒストリー(History Free)タイプの3次元モデラー。「Autodesk Labs」からダウンロードが可能で、2010年6月末まで無料で使用できる。現時点では英語版のみ。
Fusion TPは寸法拘束や幾何拘束、フィーチャーの親子関係に左右されないダイレクトモデリングが可能だ。数値入力による形状作成も対応する(寸法拘束はなし)。また同社の3次元CAD「Autodesk Inventor」(以下、Inventor)で作成したデータを直接取り込める。
TP2では新規追加した機能「Change Manager」により、Inventorの3次元CADからデータを受け取るだけではなく、逆に書き出すことができる。TP1では3次元CADのデータを読み込むことしかできなかった。また新たに他社製3次元CADのCATIA(ダッソー・システムズ製)やPro/ENGINEER(PTC製)のデータの読み込みおよび書き出しを可能にした(この場合、Change Managerは経由しない)。ただし、3次元CAD側のフィーチャーツリーの概念は認識しない。
Fusion TPで作成された3次元形状は「Component」と呼ぶデータになり、さらにその下の階層には「Body」というデータが存在する。複数できた「Component」は、3次元CAD側のデータに変換すると複数のパーツファイルへ展開する。同ソフト内で3次元形状を「Split(分割)」した「Body」は、3次元CAD側ではマルチボディ(1パーツファイル内に複数の形状を持つ状態)として認識される。
TP2からはGUIを改善し、マウスが選択している形状や状況に合わせた機能アイコンリストをマウスカーソルのそばに表示するようにした。
「機械の構想設計では、3次元CADに向かう前にポンチ絵を描くことが多いですが、ダイレクトモデリングができるFusion TPを利用すればその作業を3次元モデリングに置き換えることも可能ではないかと考えています」(オートデスク 製品ソリューション 本部長 大谷 修造氏)。
「解析の下準備のモデリングのほかにも、3次元CADを使用したことがない解析専任者でも、解析の結果を基にした形状を自分自身で作成することができます。実際、解析専任者の方が利用するケースもあります」(同 副本部長 塩澤 豊氏)。
Fusion TPは、あくまで同社の開発技術の開示活動の一貫であり、製品化する予定は現時点未定だという。ただし、今後発表する同社製品のいずれかに、この技術の一部が利用される可能性は大いにあるとのことだ。
また具体的な日程は未確定だが、2010年の春ぐらいに現状より一歩進化したFusion TPを公開する予定だという。
同社ではWiki Help(英語版のみ)も立ち上げた。ユーザー自身がヘルプ作成に参加できるコミュニティだ。まずはFusion TPのヘルプから展開を試みている。ほかの製品のヘルプへも徐々に拡大していく予定とのことだ。
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